測量機器とは
測量は土地や物体などの距離や高さ、広さなどを測定することであり、測量機器は測量を行うために使用する機器です。
歴史としては、測量は紀元前3000年ころのエジプトから行われており、ナイル川氾濫後の区画整理やピラミッド建設などに使用されました。日本においては伊能忠敬による日本地図の作成が有名です。
測量の種類は様々あり、基準点をもとに座標を求める基準点測量、目標の高さ(海面高)を求める水準測量などがあります。他にも地図の作成や河川の形状や水位の計測、建物の計測などを計測するために使用するものが測量機器となります。
測量機器の使用用途
前項のように測量には様々な種類があり、行う測量により機器もさまざまあります。 使用用途としては地図の作成や河川や建物等の計測、土地の境界線の計測などがあります。
また、海面高さを測定することで浸水等のハザードマップの作成や地震・火山噴火などの地殻変動を監視するためにも用いられており、国民生活の安全を保つために非常に重要な役割を担っております。 測量に関する詳細な規定や情報は、国土交通省の国土地理院にてまとめられています
測量機器の原理
測量を行うためには基本的には距離と角度(鉛直角、水平角)、高さ(高低差)の情報が必要であり、それぞれ専用の機器があります。
距離を測定するためにはレーザーを用いた光波測距儀、角度(鉛直角、水平角)の測定にはセオドライトと標尺が使用されます。 光波距離計とセオドライトを合わせたものをトータルステーションといい、斜距離と角度を同時に計測できるため測量では広く使用されます。
距離を測るために一素子プリズムのターゲットやピンポールプリズムを使用して、二人一組で測量を行います。また、プリズムを使用しないノンプリズムタイプもあり、レーザー光を測定対象物に照射して、反射したレーザー光で距離を測量します。
機種や対象物によって性能は異なりますが、プリズムを使用しなくても500メートル以上の距離を測量できます。一般の機器と同様にプリズムを使用した測量が可能です。
人が立ち入れない、近づけないといった理由でプリズムが設置できない場合であっても測量できることが特徴です。
また、斜距離と鉛直角から高低差を計算することも可能ですただし、器械高や目標高を考慮する必要があります。それに加えて、トータルステーションの距離測量は測定距離が長くなるほど誤差が大きくなります。
ほかの用途として、高低差や水平だしを行う機器としてレベルがあり、水準測量に用いられます。レベルはいくつか種類がありますが、一般的にはオートレベルが使用されます。オートレベルには自動補正機能があり、補正範囲内であれば視準線を水平に保つことができます。
また、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を用いて位置情報を取得する方法もあります。トータルステーションでは時間とコストがかかる長距離間の測量や従来の測量では困難な場所での測量が、GNSSではより効率的に短時間で行うことが可能です。
また、基準点測量で必要な基準点の観測も電子基準点を使用することで不要となることが特徴です。
測量に関する規定
測量は国土地理院が行う基本測量と国や公共団体が費用の全部または一部を負担し、補助を行う公共測量があり、公共測量では届け出が必要となります。
基本測量や公共測量を行う場合、測量士や測量士補と呼ばれる国家資格を有した人が計画・測量に従事する必要があります。
ただし、建物に関する測量や1/100万未満の地図作成、規定精度以下の測量など一部の測量は公共測量に該当しないため、届け出が不要となります。
測量機器についても測量法第34条で規定されています。例えば、1級セオドライトの水平角の倍角差が10″、観測差が5″以下である必要があります。測距儀も1級では基線長との比較で15mm以下である必要があります。これらが組み合わさったトータルステーションは角度、距離測定でこれらの基準を満たす必要があります。
このように測量に関しては公共性が非常に高く、測量法により細かく規定されているため、測量を行うものはこれらの規定を正しく把握し、正しい手順で測量を行う必要があります。
参考文献
https://hikari-souzoku.com/blog/sokuryou-toha
https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top03.html
https://lets.mitsuifudosan.co.jp/column/shoukei/shoukei44.html
http://gwdoc.icrr.u-tokyo.ac.jp/DocDB/0027/T1402784/002/20140916-Sokuryohki-no-tukaikata.pdf