定流量弁とは
定流量弁とは、流体の流量を一定に制御するために使用される制御弁です。
圧力変動がある系統においてに流量を一定にするために使用されることが多くあります。特定の流量を維持する必要がある場合や、一定の流量範囲内での操作が求められる場合に有用です。
圧力変動に対応した制御機器が必要なくなるため、省コスト・省スペースが実現されます。ビル空調設備の冷却ラインや工場の給水ラインに手軽に導入可能です。
電源を必要としない場合も多く、引火性が高い危険物流体を安全に扱うことができます。設定流量は弁によって事前に決まっているため、現場での調整は必要ありません。
定流量弁の使用用途
定流量弁は、さまざまな産業分野で幅広く使用されています。製造業においては、プラントの流量制御などに使用されます。化学プロセスや食品加工など、特定の材料や流体の一定の流量を維持する必要がある場合に有用です。
これにより、製品品質の一貫性や効率の向上を図ります。また、ビル空調設備などの熱交換機器も使用用途の1つです。冷却水や熱交換媒体の一定な供給や制御を行うことで、適切な温度制御を実現し、熱効率を最適化します。
ガスや液体の燃料供給を制御するためにも定流量弁が使用されます。火力発電所や産業炉などで燃料の供給量を一定に保ち、効率的な燃焼やシステムの安定性を確保します。
定流量弁の原理
定流量弁はパイプライン内で開口部面積を調整することによって、一定の流量を制御するという基本的な原理に基づいています。一般的に、ディスクやプレートなどの可動部品を持つ制御弁です。可動部品がパイプライン内に配置され、開口部の面積を変化させることで流体の流れを制御します。
流体が定流量弁を通過するとき、可動部品の位置や開口面積によって抵抗が発生します。抵抗が増加すると流体の流れは制限され、流量が制御されます。開口面積が小さい場合は流速は増加し、開口面積が大きい場合は流速が低下します。
また、コントロールバルブとフィードバック制御ループを組み合わせて定流量を確保する場合も多いです。
センサーが流量を監視して制御信号が調整することで、実際の流量と目標の流量を比較して必要な調整を行います。これにより、流量の変動に対して自動的に制御が行われ、一定の流量が維持されます。
定流量弁の種類
定流量弁はさまざまな種類が存在します。以下は定流量弁の種類一例です。
1. フローワッシャー式
ゴム (フローワッシャ) を使用する定流量弁です。流路に小孔が開いたゴム製板を置くことで流路面積を制限します。ゴムの弾性によって流路面積を調整し、流量を一定に保ちます。
清掃や交換が比較的容易な点が特徴です。ただし、ゴムを使用するため、耐熱温度が低い場合が多いです。
2. オリフィス式
パイプライン内に設置されたオリフィスプレート (孔の開いたプレート) によって流量を制御する定流量弁です。オリフィスプレートの孔サイズを変えることで、流体の流れる速度や量を制御します。
比較的単純な構造のため、製造や取扱いが容易です。また、可動部品が少なく、信頼性が高く耐久性があります。ただし、流量の正確性は低い場合が多いです。
3. ニードル式
細長い針状の可動部品 (ニードル) を使用して流量の制御する定流量弁です。ニードルを細かく調整することで、非常に正確かつ微細な流量制御が可能です。高度な制御が求められる場面で使用されます。
ニードル式は緩やかな開閉特性を持ちます。徐々に開閉するため、流量の急激な変化やサージを抑えることができます。一般的にコンパクトに設計されるため、スペースに制約のある環境やシステムに適しています。
4. ダイヤフラム式
ダイヤフラムと呼ばれる柔軟な膜を使用する定流量弁です。ダイヤフラムは、PTFEなどの耐久性が高い材料で作られています。これにより、さまざまな流体や環境に対して優れた耐久性を持ちます。高い精密性と制御性を有し、正確な流量制御が可能です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicejl1962/34/8/34_8_671/_pdf
https://www.tokyokeiso.co.jp/products/download/tg/FPC_RSP_NSPW_NFFW_NFF-S_TG-F880.pdf
http://www.jwrc-net.or.jp/qa/07-71.pdf