ホットプリンターとは
ホットプリンターとは、熱によって印刷を行うプリンターのことです。
具体的には、印刷ヘッドからインクを噴射するのではなく、熱転写リボンや感熱紙を用いて印刷を行うプリンターの総称です。POSなどで使われるレシートへの印刷や製品の包装などへの印刷に良く使われています。
特に高精度な印刷が求められる場面や特殊な材料に対する印刷でその真価を発揮します。一般的なプリンターとは異なり、熱を駆使して、インクの定着性を高めるだけでなく、材料の特性を活かした印刷が可能となります。
ホットプリンターの使用用途
ホットプリンターのテクノロジーは、多様な産業でその有用性が認められています。具体的な使用用途は、以下の通りです。
1. 医療品のマーキング
医療品には高度な精度と耐久性が求められます。ホットプリンターは、清潔性や防水性を維持しながら、高精度で文字やコードを印刷できます。
2. 自動車部品の識別
耐久性と高温環境下での安定性が求められる自動車部品に、ホットプリンターは非常に適しています。
3. 電子機器のシリアル番号
微細な印刷が必要な場合でも、ホットプリンターは高い解像度で確実な印刷を行います。これは、品質管理や追で非常に価値があります。
4. 食品パッケージの日付表示
熱によってインクを定着させることで、冷凍・解凍プロセスに影響されにくい印刷が可能です。
5. 航空機・宇宙部品
高度な環境条件下でも性能を維持する必要があるこれらの部品に、ホットプリンターでの印刷は長期間にわたる耐久性と信頼性を提供します。
ホットプリンターの原理
ホットプリンターのプリンタテープは、インクではなく箔を用います。約150℃に熱した金属活字をプリンタテープを介して被捺印物に押し当てることで活字部分の箔が剥離し、被捺印物に転写されます。
熱によって転写される箔テープは活字側から、フィルム・剥離層・カラー層・接着層から成ります。インクと異なり、ドライなため、熱転写後に乾燥の時間を設ける必要はありません。印字後のボイル処理にも強く、紙だけでなくポリエチレンやラミネート紙に対しても綺麗可能です。
安定した印字のためには、活字を押し当てる際の圧力と温度が重要です。ホットプリンターを用いると、プリンタテープの交換や転写温度に達するまでに時間がかかる欠点もあります。
そのため、2000年頃からは活字を用いず非接触で熱転写できるサーマルプリンターが多く普及されるようになりました。サーマルプリンターは活字を用いないので、文字以外のバーコードも印字できる点に魅力があります。
ホットプリンターの種類
ホットプリンターはその使用目的や技術に応じていくつかの主要なカテゴリーに分類されます。
1. 熱転写プリンター (英: Thermal Transfer Printers)
熱転写プリンターは、熱を用いてリボンからインクを紙やラベルに転写します。一般的にはバーコード、ラベル、プラスチックカード印刷に使用されます。
2. ダイレクトサーマルプリンター (英: Direct Thermal Printers)
このタイプのプリンターは、印刷する素材自体に熱を直接適用し、色を変化させる方法で印刷します。レシートやラベル印刷によく使用されますが、長期保存には向いていません。
3. ホットスタンピングプリンター (英: Hot Stamping Printers)
熱と圧力を使って特殊なフォイルを素材に転写する方法です。高級なパッケージや資格証明書、ラベルに使われます。
4. レーザー焼き付けプリンター (英: Laser Annealing Printers)
高熱のレーザーを用いて材料の表面を変質させることで、永続的なマーキングを施します。特に金属やセラミックスなどの硬質素材に適しています。
参考文献
https://www.edm-net.co.jp/products/hp/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/marker/inkjet/example/process/contact-type-printer.jsp