アイソレーションアンプとは
アイソレーションアンプ (英: isolation amplifier ) とは、入力・出力信号の間を電気的に絶縁しつつ、信号を伝達できる増幅器です。
アイソレーションアンプは、マイコン制御ボードのようなプリント基板の入力回路や出力回路に組込まれ、外部から入る信号を直流的に絶縁して、正確な計測が可能です。そのため、一般的に計測器や医療機器などに使用されます。
また、使用者の安全を確保する役割も果たします。感電防止、信号分岐、高アース電位対策、ノイズ対策などが特徴です。
アイソレーションアンプの使用用途
アイソレーションアンプは、高アース電位による逆走電流を取り除き、電源を保護します。また、ノイズの発生源が多い環境でも設置できます。具体的な使用用途は、以下のとおりです。
- 電車車両
架線電圧、電流の監視、駆動動力系の監視、車両間の制御信号インターフェースなど - 発電設備
発電部・制御部間のインターフェース、直列接続された各バッテリーセル・太陽電池セルの端子電圧の監視、パワーコンディショナー制御信号の伝送用途など - FA関連
各種センサ・制御機器間のインターフェース、大型電源の制御信号の伝送用途など - その他
医療機器、半導体製造装置、通信機器、計測機器など
回路の要所に組み込むことで、機器が故障した場合も、使用者が感電しないよう安全対策として機能します。
アイソレーションアンプの原理
アイソレーションアンプは、回路が接地や電源共通によって双方影響を与えないように、回路を完全に切り離して絶縁しつつ、回路動作を行うタイプのアンプです。主な信号伝達方式は光、磁気、静電容量式などがあり、そのうち磁気方式の動作は以下の通りです。
アイソレーションアンプへの入力信号は、まず入力側のバッファアンプ1へ入ります。このアンプは、高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスの特性を有しています。アイソレーションアンプの出力側に設けるものは、同様のバッファアンプ2です。
2つのバッファアンプの間に絶縁回路がありますが、入力側と出力側とは直流的に完全に絶縁されています。絶縁回路には、信号トランスがあり、1次側と2次側のコイルに各々スイッチング素子が接続されています。2つのスイッチング素子を同時にオンオフを繰り返すことで、同期整流が可能です。
次に、同期整流により、1次側に入った信号電圧と等しい電圧が、2次側に伝わります。したがって、信号トランスの1次側と2次側は、完全に絶縁されても、信号を2次側から取り出すことが可能です。
アイソレーションアンプの特徴
アイソレーションアンプには、以下のような特徴があります。
- 出力側から入力側への電流の漏れがないので、感電することがなく安全が確保可能。
- 入力と出力間に高電圧が存在しても動作するため、高電圧部の信号増幅が可能。
- 入力と出力間に極めて大きなノイズがあっても動作し、同相ノイズの除去が可能。
- 耐電圧が高い。 (数千ボルトの製品が多い)
アイソレーションアンプのその他情報
1. アイソレーションアンプの電源
アイソレーションアンプの絶縁トランスには、信号トランスの他に、電源トランスが設けられています。電源トランスの1次側は、発信器からの矩形波が加えられ、2次側にも同じ矩形波が発生します。
発振器の発振周波数は、アイソレーションアンプの周波数特性に合わせて設定されます。50kHz~100kHz程度の矩形波発振器です。電源トランスの電圧は、1次側・2次側とも各々スイッチング素子を駆動します。
電源トランスも、1次側と2次側が直流的には絶縁されています。1次側と2次側のバッファアンプの電源も、電源トランスの1次側及び2次側からの供給です。
2. アイソレーションアンプのフォトカプラ
アイソレーションアンプの信号伝達が光式の場合、フォトカプラを使用します。このフォトカプラは、入力と出力をお互いに完全に浮かせた様な絶縁回路にする時や、異電位の信号を検出する時などに使われているアイソレーションアンプ回路に使用する光ICです。
参考文献
https://jp.rs-online.com/web/c/semiconductors/amplifiers-comparators/isolation-amplifiers/
https://toshiba.semicon-storage.com/
https://ednjapan.com/edn/articles/1809/05/news018.html