形状測定機とは
形状測定機とは、物体表面の形状を正確にトレースすることで、輪郭形状を記録、解析、測定するための装置です。
形状測定機は、大きく2つのタイプに分けられます。スタイラスと呼ばれる触針を用いる接触式タイプと、レーザ等で表面をなぞる非接触式タイプです。非接触式の形状測定機の場合、測定作業は比較的容易に行えますが、物体表面の材質や性状に大きく左右されることもあります。そのため、接触式の形状測定機が主流です。
形状測定機の分解能は高く、輪郭形状のトレースは0.001mm以下で行うことができます。しかしス、タイラスの可動範囲を超えた測定はできないため、高さ方向が大きい測定をする際には、十分に検討する必要があります。
形状測定機の使用用途
形状測定機は、金属を中心とした工業製品の開発、生産、品質管理などに使用されています。形状測定機によって計測される項目は、測定対象物の寸法、角度、段差、ねじピッチなどの、輪郭形状の測定・解析に関わるもの全般です。
形状測定機の中でもCNC制御が可能な機種は、一連の測定動作をプログラムとし、生産ラインサイドでの自動計測として使用されることもあります。例えば、ペットボトルの蓋のねじ形状などのように規格化されたものは、形状測定機により品質管理されることが一般的です。また、形状そのものに特許を取得した製品などは、その輪郭形状を細かく規定しています。
形状測定機の原理
ここでは形状測定機の主流となっている、接触式の形状測定機の原理について説明します。接触式の形状測定機は、測定対象の輪郭形状を、水平方向に移動する検出器と検出器に取り付けられたスタイラスの上下動の変位をプロットします。
スタイラスを動かしながら、デジタルスケールにより0.001mm程度のピッチで、水平方向の移動によるX座標と、スタイラスの上下位置のY座標をプロットし続けることで輪郭形状をトレースして行きます。
多くの形状測定機のスタイラス上下動は、ピボットと呼ばれる中心を軸に円弧運動です。そのため、スタイラスが水平位置からの上下動が大きくなるほど、円弧による水平方向の誤差が発生します。スタイラス先端の位置は、この誤差を常に補正しながら検出する必要があります。
また、スタイラス先端が測定対象に接触し続けるため、スタイラスが摩耗します。スタイラスが摩耗することで、摩耗量に応じてスタイラス先端の位置が変化します。定期的にスタイラス先端の形状を確認し、摩耗量に応じた補正を行う必要です。
形状測定機のその他情報
1. 形状測定機と輪郭形状測定機の違い
通常、形状測定器と輪郭形状測定機は同じものを指します。しかし、厳密に意味を分けて名称を使用しなければならない場面は、以下のような場面です。
厳密に両者を分ける場合、輪郭形状を連続測定なのか、非連続測定なのかで分けます。つまり、輪郭形状測定機はスタイラスが常に接触し続ける連続測定であり、形状測定機は連続測定以外も含まれす。例えば、等間隔のピッチである程度離れた距離の変位を測定し、その測定点を結ぶことで形状を表すような場合です。
測定ピッチの間の変位は測定できないので、ピッチを短くするか、測定点の座標から近似式を求めて補完することになります。そのため、測定ピッチの細かさにより、正確に形状を測定できるトレース力や最小分解能などの精度が異なってきます。
2. ハンディタイプの形状測定機
据え置き型の形状測定機では測れないほどの巨大なもの測定する場合や、ラインサイドで簡易的に測定する場合は、ハンディタイプの形状測定機を使用します。
巨大なものをハンディタイプの形状測定機で測定する場合、全体の形状測定を行うことは不可能です。寸法公差が厳しく求められる個所や、形状の変化が機能や性能、安全性に大きく影響する箇所など、測定個所を限定して使用します。
3. 表面粗さ測定機を形状測定機として用いる場面
表面粗さ測定機の測定原理は、水平方向のX軸とスタイラスの上下動であるZ軸方向の変位を組み合わせて測定します。これは、形状測定機でも同様の測定原理なので、X軸とZ軸の測定可能な範囲であれば、表面粗さ測定機を形状測定機として用いることも可能です。
ただし、表面粗さ評価は形状測定よりも高い精度が求められるため、スタイラスの先端形状や、検出器もより高精度の分解能が必要になります。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/measurement-selection/type/shape.jsp