回転ステージ

回転ステージとは

回転ステージ (英: rotating stage) とは、装置や物体を取り付ける回転台です。

回転ステージに取り付けた物体の向きや角度を任意の状態にしたり、位置決めや計測を行うために使用します。回転する方法は手動や電動などです。制御方法がオープンループやフィードバック制御のもの、大きさも大小さまざまあるので、用途によって使い分けが重要です。

また、回転動作は加工や計測など、その後に何らかの動作が伴うという目的があって行うことが多いため、回転テーブル単体で使用される場合は少なくなっています。

回転ステージの使用用途

回転ステージは、半導体ウェハなどを固定して、検査、精密計測、モーションシミュレータなどを行います。また、オプトメカニクス部品を固定して、精密計測をします。

回転ステージ自体の取付方向は、さまざまな向きに取り付けて使用可能です。加工や測定の対象物と装置の機構部品のどちらを回転させる方が効率が良いかを考えた上で、使用されています。

大まかな角度が必要な場合は手動による粗回転、細かい角度調整が必要な場合は微動回転を使用するなど、用途に応じて高精度なものが求められます。

回転ステージの原理

回転ステージの回転台を支持する構造として、クロスローラベアリングを使用するもの、摺動方式のもの、及びアンギュラベアリングを使うものなどが実用されています。

1. クロスローラベアリング方式

クロスローラベアリングとは、90°のV溝を有するローラレースと円筒コロから構成される軸受です。円筒ローラは、45°の接触角を持って直交に互い違いに配列されます。ボールベアリングにおける背面受け構造を1列で実現でき、多方向からの荷重を同時に受けることが可能な構造です。

回転ステージを駆動すると、ローラレース上を複数の円筒コロが転がるため、停止時から起動時への摩擦の変化がほとんどない特徴があります。クロスローラベアリングは、線接触で荷重を支えており、ボールガイド機構よりも剛性が高い方式です。また、回転台とクロスローラベアリングは直結させることができるので、構造部品を少なくすることも可能です。

回転ステージの回転精度は、ローラの精度に依存するため、ローラの精度等級によって高い回転精度を得ることができます。また、クロスローラベアリングは摩擦力が小さく、軽い力で動作させることができるので、微動回転機構にマイクロメータヘッドなどが使用可能で、高い位置決め精度を得られます。

回転機構にステッピングモーターを接続することで、回転の角度や方向、動作手順などを自動化することもできます。

2. 摺動方式

回転ステージの一面と固定側の一面が面接触して摺動する方式です。アリ摺動と呼ばれます。機構が簡素で、隙間に汚れが入りにくい構造です。支持する面積が広いので、衝撃荷重や大荷重に耐えることができます。

3. アンギュラーベアリング方式

アンギュラーベアリングは、接触角を有するベアリングで、一方向のアキシャル荷重を受けるものです。回転ステージに使用する場合は、アンギュラーベアリングを2個使用して、互いに向かい合わせに配置します。この方式により、アキシャル荷重とラジアル荷重の両方に剛性が大きくなります。

4. モータ駆動

電動式の回転ステージには、ステッピングモータが多く使われます。基本ステップ角は、0.36°、分解能は、フルステップで0.004°、1/20分割のマイクロステップで0.0002°前後です。

回転ステージの特徴

1. 微動機構

回転ステージには、360°回転可能な粗動回転機構の他、特定の範囲を微細に回転ができる微動回転機構が付いています。微動回転は、精密マイクロメータを使用してウォームとギア駆動で回転させます。

微動回転できる範囲は、±3~5°が一般的です。分解能は、5 arc-min程度のバーニヤ目盛です。

2. 高剛性

回転ステージは、がた、ふらつき、ぐらつき、バックラッシュなどを非常に小さくしています。軸方向のふらつきは、500μrad以下が一般的です。

3. 機能性

クラス100のクリーンルームで使用できる回転ステージもあります。また、多くは欧州RoHS指令に準拠した製品です。粗動回転機構と微動回転機構は、ねじによりロックが可能です。

参考文献
https://www.thorlabs.co.jp/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=12958

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