フェライトコア

フェライトコアとは

フェライトコア

フェライトコア (英: ferrite core) とは、フェライトと呼ばれる鉄を主成分としたセラミックの磁性体を、用途に応じて加工したものです。

フェライトを磁心とすることにより、高周波電流を阻止できるため、ノイズ除去としての効果が発揮されます。フェライトはその組成によって系統が分かれますが、ノイズ除去用にはNi-Zn系が主に用いられます。

この理由は、Ni-Zn系は絶縁加工が不要なことや高周波特性が優れていることなどです。リング状のフェライトコアにケーブルを通すことでノイズが除去できます。

フェライトコアの使用用途

フェライトコアは、電子機器のノイズ除去に使用されます。フェライトコアのノイズ除去効果は、ケーブルに外部から入るノイズだけでなく、ケーブル側から発生するノイズも除去可能です。

フェライトコアは、単純で安価なノイズ対策部品であり、取り扱いが簡単な特徴があります。したがって、基板や回路の設計変更が不要で、ノイズ対策を行うことができます。そのため、最終仕様を確定させる前の実験的方法として、また応急的なノイズ対策として用いることも可能です。

フェライトコアの原理

フェライトコアがノイズを除去できる原理は大きく分けて2種類あります。1つ目は高周波をカットするフィルターの作用をし、高周波電流に起因するノイズを除去することです。

フェライトコアの穴に通したケーブルに電気が流れるとインダクタとなり、フェライトコアの磁化に応じてケーブルのインピーダンスが変わります。この時、インピーダンスが高周波帯域で高くなり、ノイズ成分である高周波電流の減衰が可能です。

フェライトコアのノイズ除去

図1. フェライトコアノイズ除去

2つ目はヒステリシス損失により、ノイズ電流が熱エネルギーとして放出されることです。フェライトコアによってインダクタが構成され、そこに交流電流が流れると、発生する磁場は時間とともに方向と大きさがある周期で変動します。

フェライトコアの磁化が一周することを、ヒステリシスループと呼び、その際に発生するエネルギーの損失を、ヒステリシス損失と呼びます。

フェライトコアの選び方

フェライトコアを選択する場合、留意することがあります。

1. 目安として150MHz以上の高周波帯域のノイズカットをする場合

  • フェライトコアの内径はケーブルに合わせ、外径が出来るだけ大きく、長さが長いタイプを選択
  • ケーブルはターンしないで使用
  • フェライトコアの形状ファクターにより、良好なインピーダンス特性を取得

2. 150MHzより低い周波数海域のノイズカットをする場合や装置内のケーブルのノイズ対策として使用する場合

  • フェライトコアの内径は大きく、長さの短いタイプを選択
  • ケーブルをターンして使用
  • ターン数により、良好なインピーダンス特性を取得

フェライトコアのその他情報

1. フェライトコアの材質

ソフトフェライトと呼ばれる軟磁性材料が、フェライトコアに使用されます。ニッケル、鉄、亜鉛などの遷移金属の酸化物が主原料です。ソフトフェライトは、その組成によって透磁率を変えられるため、インピーダンスを主原料の配合割合によって、チューニングが可能です。

インピーダンスは2つの成分、即ちリアクタンスとレジスタンスがあります。ノイズ除去用のフェライトコアは、材料の組成がレジスタンス成分を多く含みます。そのため、ノイズ除去は、高周波をカットするフィルターの効果に比べ、ヒステリシス損失によってノイズ電流のエネルギーを熱として放出する効果の方が大きいと言えます。

2. フェライトコアのノイズ除去性能

フェライトコアのノイズ除去性能は、インピーダンスによって評価されます。インピーダンスは、材料特性、形状ファクター、及び巻き数で決まります。

材料特性は、ソフトフェライトの組成で決まります。形状ファクターは、フェライトコアの断面積を平均磁路長で除した値です。したがって、断面積が大きく、内径が小さい形状のフェライトコアが、一般的には性能は良好です。ノイズ除去効果を上げる場合は、ケーブルをフェライトコアに複数回巻き付けることも有効です。

ただし、導線を2回以上巻きつける場合、巻き始めと巻終わりが接近するため、間に浮遊容量ができます。この浮遊容量によって、高周波成分への対策効果が低減するため、ノイズ低減したい周波数帯域を見極めながら、巻きつける必要があります。

参考文献

https://www.techno-kitagawa.com/techinfo/tech/ferrite.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-8
https://techweb.rohm.co.jp/knowledge/emc/s-emc/01-s-emc/6899

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