電気溶接機とは
電気溶接機はアーク放電を利用して金属同士を溶接する機器です。
電気溶接機には直流インバーター溶接機や交流アーク式溶接機などがあります。電力供給のためのコンセントが必要ないバッテリー式の電気溶接機もあり、持ち運びに便利で電源が無いような場所での作業に適しています。
一般家庭用の電圧である100Vで使える電気溶接機も販売されています。アセチレンなどの可燃性ガスを使用する場合には資格が必要になりますが、電気溶接機を使用する際には資格は必要ないために取り掛かりやすい溶接機です。
電気溶接機の使用用途
溶接機は金属加工を行う工場では使用されますが、一般の生活ではなかなか使う用途はありません。しかし、金属を使用して棚や小物などを作る場合には電気溶接機を持っている場合といない場合では作れる物が大きく違ってきます。
例えば、溶接機を持っていないと金属パーツ同士を直接くっつけることが出来ずに、ネジとナットで繋げなければなりません。パイプや板などの単純な形状でしたらネジとナットでも繋げることは可能ですが、複雑な形状になるとどうしても溶接機を使う必要が出てきます。
電気溶接機の原理
電気溶接機はアーク放電を起こすことで金属を溶かすほどの高温を発生させて溶接棒を溶かします。溶けた溶接棒は糊の役目をはたして金属パーツ同士を接合させますが、この時の接合は金属結合となりますので非常に強い結合力となり、一度溶接すると人間の力では引き離すことが難しくなります。
電気溶接機で溶接できる素材はアーク放電で溶かされた溶接棒と金属結合を起こす物質ですが、溶接棒の素材により異なりますので素材に応じて専用の溶接棒を使用します。一般的には軟鉄、ステンレス、鋳鉄などの鉄系の材料を溶接させることができます。
電気溶接で使用するアーク放電は高電圧により空気中に電気が流れている状態です。アーク放電は強い光を発する上に有害な紫外線も含まれていますので、放電中の溶接部を直接見ると目に損傷を受けますので、電気溶接機を使用する際には眼を守る保護具が必須になります。
また、アーク放電は溶接機と溶接する金属がそれぞれ電極になっていて溶接する金属に電気が流れていますので、電気の回路を形成することと感電防止のために溶接物のアースを取る必要があります。
半自動溶接機
半自動溶接機は、トーチと呼ばれる加熱器具で自動で供給される溶融金属という金属を溶かし、二つの資材を接合する装置です。
半自動溶接の溶接方法はガスシールドアーク溶接とノンガス溶接の2つに分けられます。
ガスシールドアーク溶接とは、高温となった金属が酸素と反応することで酸化するのを防ぐために不活性ガスを噴射することで酸素を遮断する手法です。
この場合に使用するガス種によって、CO2溶接、MAG溶接、MIG溶接の3つの溶接方法があります。
CO2溶接は、シールドガスに炭酸ガスだけを使用する半自動溶接法です。主に鉄の溶接に使用されています。半自動溶接のなかでは最も一般的で溶け込みが良いのが特徴です。炭酸ガスを使用するのでランニングコストを低く抑えることができます。
MAG溶接は、シールドガスに混合ガスを使う溶接方法です。混合ガスには、一般的に不活性ガスであるの80%アルゴンガスと20%炭酸ガスが使用されています。主に鉄やステンレスの溶接に使用されています。使用するアルゴンガスが高価であるため、ランニングコストが高くなります。
MIG溶接は、シールドガスにアルゴンガスだけ、またはアルゴンガスに2%の酸素を加えた混合ガスを使用する溶接方法です。おもにステンレスやアルミニウムの溶接に使用されています。ステンレスを溶接するときはステンレスワイヤーが使用され、アルミを溶接するときはアルミワイヤーが使用されます。スパッタが非常に少ないので非常に美しく仕上がります。炭酸ガスを使わない分、溶け込みが浅くランニングコストが高くなります。
電気溶接機に関する資格
電気溶接機による作業は、感電災害、爆発や火災といった重大な災害が発生する危険性があり、これらの災害を防止するため、事業者は、電気溶接(アーク溶接)の業務に就かせる労働者に対し、特別教育の実施が義務付けられています(労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第3号/安全衛生特別教育規程第4条)。
アーク溶接の学科においては、アーク溶接等に知識と労働安全衛生法をはじめとした関係法令を学びます。
参考文献
https://www.homac.co.jp/guide_detail/id=16
https://diyclip.roymall.jp/tool/1082745
https://04510.jp/times/articles/-/9501?page=1
https://www.bildy.jp/mag/semi-automatic-welding/