メタルソー

メタルソーとは

メタルソー

メタルソーとは、切断機に取り付けて素材を切ったり、溝を加工するときに使用するドーナツ型のノコギリ刃のことです。

材質が高速度工具鋼 (ハイス) で作られており、さまざまな材質の加工が可能になっています。再研磨して使用できるため、刃の円径が切断機の限界を超えて小さくなるまで何回でも使用可能です。

切断用砥石を使う高速切断機よりも回転速度が遅いので、火花の飛散や粉塵の発生を抑えながら加工できる特徴があります。

メタルソーの使用用途

メタルソーは、丸材や角材、L字アングル材の切断に使われるほか、高速切断機では不適な塩ビ管やアルミなどの摩擦熱に弱い材質の切断にも使用されます。ただし、非鉄金属や塩ビ管などの素材は、それぞれの材質に適合した刃物を選定する必要があります。

火花を発生させにくいことから、火気に注意しなければならない場所でも使用可能です。また、種類によっては材料を固定するバイスやクランプの角度を自在に変更できるため、角度のついた切断も行えます。

メタルソーの原理

同じ切断機でも、切断用砥石を用いた高速切断機と比較した場合、それらの特徴は大幅に異なっています。まず、メタルソーは高速切断機ほど回転が速くないため、粉塵の発生を抑えることが可能です。

砥石と比べて刃の消耗が早いので、早いペースで再研磨をする必要があります。研磨を繰り返して刃物の径が小さくなりすぎると、交換するコストや手間がかかってしまいます。

砥石は寿命が比較的長いため、長時間にわたって切断し続けることが可能です。しかし、メタルソーに比べると加工スピードは若干落ちる他、高速で砥石が回転しているので、火花や粉塵が盛大に発生します。作業環境に十分な注意が必要です。

また、メタルソーのほうが熱による影響を受けないため、切断したあとの断面にバリが出にくく、切断面が綺麗に仕上がるメリットがあります。

メタルソーのその他情報

1. メタルソーとハンドソーの違い

ハンドソーはいわゆる「のこぎり」で、帯状の金属に刃先がついたものをいいます。メタルソーは全体がハイス材などの硬い材質でできているのに対し、ハンドソーは刃先の部分にだけハイス材が使われています。

帯状の金属は弾力を持っており、力を加えることでしなるのが特徴です。この金属に柄をつけて手動で対象物に対し切断を行います。

メタルソーとの一番の違いは刃先で、ハンドソーには切削性を良くするために刃を左右に振り分けた「アサリ」があることです。メタルソーにはこの「アサリ」はありません。

2. メタルソーの切削条件

メタルソーによる切削条件は切断物の材種やメタルソーの材質、各工程での作業によって変わります。

切削速度の調整は次の指針で行います。

切削速度を遅くするケース

  • メタルソーの寿命を優先するケース
  • 被削材が硬い材種であるケース
  • 荒加工の切削を行うケース
  • 新しい作業に着手するケース
  • メタルソーの摩耗の進行が著しいケース

切削速度を速くするケース

  • 被削性のよい材種のケース
  • 高度な仕上げが必要なケース (完成間際の仕上げ削りや細部の精密な仕上げの場合)

1刃当たりの送り量の調整は次の指針で行います。

送り量を小さくするケース

  • 切断機への取付けが不安定な被削種、形状が薄肉ないしは安定しない材料のケース
  • 薄くしなやかなメタルソーで切削しなければならないケース
  • 高度な仕上げが必要なケース (完成間際の仕上げ削りや細部の精密な仕上げの場合)
  • 切刃に小さい欠けがある場合で送りを下げても最小送りを下回らないケース
  • 深い溝を削るケース

送り量を大きくするケース

  • 被削性のよい材種のケース
  • 断続した被加工面のケース
  • 逃げ面摩耗が著しく増大するケース
  • 機械がビビルようなケース (振動が発生して切削物上に振動の痕が残る場合)

3. メタルソーの研磨について

メタルソーは、研磨を繰り返していると少しずつ刃は削れ直径が小さくなります。切断物に刃が届く限りは再研磨を行い繰り返し使用することができますが、切断機から刃が切断物に届かなくなった場合はメタルソーの交換が必要です。

再研磨をする場合は、なるべく早めに行うとメタルソーの割れなど作業上のトラブルを回避できます。また、切断機に付着した切り粉の整備はメタルソーの寿命を伸ばし、ランニングコストを抑えられます。

4. メタルソーと併用される機械

このメタルソーと併用される機械としては、バンドソーやコールドソーなどが挙げられます。コールドソーはバンドソーよりも切断面がきれいに仕上がるため、精度の高い切断を求められる場合に使用されます。

どちらの機械も、メタルソーと組み合わせることでより高い加工能力の発揮が可能です。また、刃の選択や切削条件の調整によって、さまざまな材料を切断できます。さらに、近年では自動化技術の進歩によって、これらの機械を自動化すると高い生産性と安全性が実現されます。

バンドソー
バンドソーは、幅の広い薄い刃を使用して切断を行う機械です。刃の長さによって切断可能な材料の厚みが変わります。また、バンドソーは材料を自動で送り込めるため、高い生産性を持ちます。

コールドソー
コールドソーは円盤状の刃を使用して切断を行う機械で、高速回転する刃で材料を切断します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_processing/T1200000000/T1217000000/
https://www.okayasanso.co.jp/purpose/cutting/4340
https://mrt-metalsaw.com/archives/technology/condition
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0343.html

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