平行チャック

平行チャックとは

平行チャックとは、2つの爪が平行に開閉してワークを掴んで運ぶ搬送装置です。

平行チャックは工場などの製造現場で、製造装置や検査装置に組み込まれる形でワークのハンドリング作業を担っています。ワークをチャック中心で把持するという点ではマシニングセンタCNC旋盤などの工作機械で使用される3つ爪スクロールチャックと似た機能を持ちますが、平行チャックは基本的に2つ爪構造で、よりコンパクトな構造が特徴です。

平行チャックの使用用途

平行チャックは、自動化された生産ラインなどでワークの搬送のために使用されています。

工場の生産現場では、製品の組み立てや検査のために多くの機械やロボットが稼働しています。また製品の工程間の移動にはベルトコンベア等が使われています。平行チャックはそれらのロボットや機械のために加工対象のワークを供給したり、1つの工程が終わったワークの所定の穴に部品を挿入する、加工対象のワークをベルトコンベアに乗せる、などの作業を行います。例えば工作機械と連結してワークを供給するローダー機などでもよく使用されています。軽量で高速に動く平行チャックは、高速ローダーにも対応可能です。

ワークを掴むフィンガー部には、ワーク形状に合わせたハンド爪を取り付けることができるため、爪を取り換えることで様々な形状や大きさのワークを取り扱うことが可能です。最も基本的な形状のワークとしては円筒形のシャフト材があります。

平行チャックの原理

一般的に、平行チャックはエアコンプレッサから供給される圧縮空気を用いてチャックの開閉を行います。

平行チャック内部にはエアシリンダが内蔵されており、エアシリンダは駆動ローラを介してフィンガと機械的に繋がっています。エア供給ポートからエアが供給されるとエアシリンダのピストンが押され、駆動ローラがフィンガを押し閉じる構造になっています。エア供給ポートが1つのものを単動式といいます。一方で中には複数のエア供給ポートを持つものもあり、これを複動式といいます。複動式の場合は、使用するエア供給ポートによって把持力を弱めることもできます。

エアチャック仕様なので、油圧や手動式のチャックと比較すると繰り返し精度は高い傾向にあります (±0.01mm程度) 。しかしエアチャックであるうえにコンパクトな構造であることから、重量のあるワークを保持することは困難です。

平行チャックの種類

平行チャックは、上記の単動式と複動式という構造の違いの他に、次のような種類分けができます。

1. 汎用タイプ、専用タイプ

汎用タイプの平行チャックでは、チャックを取り換えることで様々な形や大きさのワークに対応できます。その一方で、特殊な形状のワークをハンドリングするために、個別に設計して製作されたフィンガ形状のものを使用するカスタマイズされた平行チャックもあります。

2. 使用環境に合わせたタイプ

クリーンルーム内などの清潔な環境下での使用を想定して、異物混入を防ぐための構造になったものや、発塵の多い場所での使用を前提に対策されたものなど、使用環境に合わせた平行チャックがあります。

3. 駆動力による違い

平行チャックを駆動する力には、エアシリンダだけでなく電動アクチュエータやマグネット、油圧を使うものがあります。

平行チャックの選び方

平行チャックを選ぶ際には以下の点を考慮することが重要です。

ワークの形状とサイズ
ワークの形状やサイズに合わせて、適切なフィンガ形状や開口量を選びます。

必要なクランプ力
ワークの重量や加工時の力に耐えられるだけのクランプ力が必要です。

動作速度
搬送速度やサイクルタイムに合わせて、動作速度が適切なものを選びます。

環境
使用環境 (温度、湿度、振動など) に合わせたものを選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.pisco.co.jp/dl/pdf/NPAC1-01.pdf
http://ca01.smcworld.com/catalog/ja/rotary_airchuck/MHZ_2/6-3-p0381-0463-mhz/data/6-3-p0381-0463-mhz.pdf

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