耐候性試験機

耐候性試験機とは

耐候性試験機とは、自然環境下における日射量、雨量、温度や湿度などの変動要因による製品の劣化を評価するための試験機です。

現在の工業製品に用いられるプラスチックや塗料、繊維や紙などの材料は、自然環境による劣化が避けられません。そこで、耐候性試験機を用いて加速試験を行うことによって、短期間で自然環境下による耐久性を確認します。

耐候性試験は国内ではJIS (Japanese Industrial Standards:日本産業規格) 、海外ではISO (International Organization for Standardization:国際標準化会議) で試験規格として取り決められています。対象となる機器や部材は、製品を発売する前に設計段階で確認するとともに、出荷前の最終確認が行われることもあります。 

耐候性試験機の使用用途

耐候性試験の対象となるのは、長期間に渡り自然環境下で使用される機器や部材です。塗料、プラスチック、ゴム、繊維、紙などの材料や、自動車、建造物、家電などの品質評価に用いられています。

耐候性の3大要因は光、温度および湿度です。耐候性試験機はこれらの環境条件によって劣化しやすい製品の品質を、特に短期間で評価するために用いられます。 

耐候性試験機の原理

耐候性試験機では耐候性の要因となる光、温度、湿度の3つの条件を疑似的に作り出して、試験対象物を加速度的に劣化させます。特に光については光源によって、キセノンウェザーメーターと、サンシャインウェザーメーターに分けられます。

キセノンランプは太陽光に最も近い波長帯域を持つことから、多くの耐候性試験機で使用されています。太陽光が持つ295~800nmの波長の光を再現できるため、紫外線、可視光、太陽光の領域をカバーできるのが特徴です。塗装の耐変色性などに用いられます。

サンシャインウェザーメーターの光源として用いられるのはカーボンアークです。正式名称はオープンフレームカーボンアークランプといいます。カーボンアークは太陽光と近いキセノンとは違い、UV領域に大きな出力が得られる光源であり、360nmおよび380nmを中心とする波長の光を強く発するのが特徴です。紫外線によって劣化しやすい樹脂製品の耐候性評価として、多く用いられています。

耐候性試験機ではこれら光源に加えて、温度と湿度を付加することによって、自然環境化における製品の耐久性を評価します。

耐候性試験機の種類

1. キセノンウェザーメーター

太陽光に近いキセノンアークランプを光源とする耐候性試験機です。近年の促進耐候性試験の主流になりつつあります。評価対象物はサンプルホルダーに固定され、回転しながらキセノンランプの光が照射されながら、温湿度管理と降雨を模擬する定期的なシャワーが噴射されます。

JISでは高分子系建築材料、アルミニウムやアルミニウム合金の着色陽極酸化被膜、塗料、プラスチック、加硫ゴムや熱可塑性ゴムの耐候性に関する試験方法が規定されています。

2. サンシャインウェザーメーター

サンシャインウェザーメーターは、キセノンウェザーーメーターよりも古くから用いられている試験装置です。特にプラスチック関係で規格化が進み、工業用塗料でも多くの評価実績があります。

光源のカーボンアークランプは紫外線部に高いエネルギーを持つ光で、太陽光との類似性で比較すればキセノンアークランプに劣ります。しかし、過去の評価実績が豊富であることから、現在でも多く用いられている試験装置です。サンシャインウェザーメーターもキセノンウェザーメーターと同様に、温度や湿度、降雨のシャワーを噴射し、促進耐候性評価を行います。

3. 紫外線蛍光灯ウェザーメーター

紫外線蛍光灯ウェザーメーターは、主に塗膜の耐候性評価に多くの実績がある試験装置です。紫外線蛍光灯を光源とする照射と暗黒結露を組み合わせたサイクル試験によって、塗膜のクラックやチョーキングと呼ばれる白亜化の評価に多く用いられています。

4. 紫外線フェードメーター

紫外線フェードメーターは主に、太陽光による退色や変色を評価するために用いられる試験装置です。自動車の内装材や衣類や靴などの繊維製品の評価に用いられます。光源はカーボンアークランプです。

参考文献
https://www.oeg.co.jp/Rel/weather.html
https://www.yamato-net.co.jp/word/24/
https://www.keisokuten.jp/static/sp_weatherability.html
https://www.ibieng.co.jp/analysis-solution/g0017/

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