汚泥脱水機

汚泥脱水機とは

汚泥脱水機

汚泥脱水機とは汚泥から水分を抜くための装置です。

活性汚泥法によって下水処理をしている設備内で、余剰汚泥を引き抜き、微生物の量を適切に保つ目的で使用されます。

真空脱水機、加圧脱水機、スクリュープレス脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、多重円盤脱水機など、様々な種類と呼称があり、凝集剤や消石灰を使って化学的に汚泥の微粒子を固まりやすい性質へと変質させ、水分のみを絞って脱水する機能を持っています。

汚泥脱水機の使用用途

主に排水設備などの汚泥処理に使用されます。活性汚泥法によって下水処理を行っている施設の中では増えすぎた活性汚泥のことを余剰汚泥と呼び、余剰汚泥は定期的に設備内から引き抜かれなければ微生物が増えすぎてしまい、槽内で若い微生物が生まれにくい環境になってしまうことで下水の処理能力が落ちてしまいます。
    
汚泥脱水機はその余剰汚泥を設備内から引き抜くための装置です。沈殿槽と呼ばれる汚泥を沈降させる槽の真下からポンプなどを使って汚泥を引き抜き、脱水機に供給することで余剰汚泥を処理することができます。

汚泥脱水機の原理

基本的には、消石灰、凝集剤を使って汚泥の微粒子を変質させ、分離しやすい性質へと変えます。

それぞれの脱水機の種類について解説します。

1. 真空脱水機

真空脱水機の場合、まず汚泥に凝集剤を混ぜて汚泥ろ液を作ります。その汚泥ろ液にろ布で覆われた回転ドラムを浸し、モーターによって低速で回転させます。ドラムの内部は真空ポンプによって負圧の状態になっているため、ドラムの外側から空気を引き込もうとする吸引力が発生します。その吸引力によって汚泥ろ液がドラムに吸われますが、ドラムはろ布で覆われているため、水分のみがろ布を貫通し、脱水された汚泥のみがろ布に張り付きます。ろ布を貫通した水分はろ過ポンプによって排水され、ろ布に張り付いた汚泥は脱水ケーキとなって排出されます。

2. ベルトプレス脱水機

ベルトプレス脱水機には多数のロールが内蔵されており、その間を2枚のろ布が通過している構造になっています。その中に凝集剤を混ぜた汚泥ろ液を投入し、2枚のろ布の間に挟み込んでプレスすることでろ液から水分だけを搾り取り、脱水された汚泥のみを排出します。

3. スクリュープレス脱水機   

スクリュープレス脱水機はスクリーンと呼ばれる槽の中に円柱型のスクリューが入っており、スクリューがモーターによって低速で回転する仕組みになっています。スクリーンは排出部に近くなるほど狭くなり、回転を続けるスクリューとの間に掛かる圧力が段々と強くなっていく構造になっています。汚泥ろ液はスクリーン内に投入され、スクリューに巻き上げられて前進します。そして排出部に近くなるにつれ、強くなる圧力によって水分が脱水されます。

4. 遠心脱水機

遠心脱水機は遠心力によって汚泥ろ液から脱水を行います。汚泥ろ液を回転筒の中に投入した後、回転筒を高速で回転させることで汚泥が回転筒の内壁に堆積します。その後、回転筒の内部にあるスクリューが回転筒よりわずかに遅い速度で回転することによって汚泥が水切りされながら排出されていきます。

5. 多重円盤脱水機   

多重円盤脱水機はステンレス製またはプラスチック製の円盤を多数組み合わせて出来たろ体を上下に設置し、回転させることによって汚泥を搬送しながら脱水します。ろ体を回転させることでろ体の隙間から水分のみをろ過します。他の脱水機と比べて目詰まりしづらく、清掃がしやすく、真空や加圧の為の設備が要りません。

参考文献
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool?t=sludge
https://www.hitachi-hps.co.jp/business/water_sewage/sewage_machinery_equipment/dehydrator_sludge/index.html
https://kenkidryer.jp/2018/04/06/multidisk-dehydrator-sludge-drying/

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