海水冷却装置とは
海水冷却装置とは近海・沿岸漁業などの漁船に搭載し、氷などを使わずに魚艙または生簀内の海水を冷却するための装置です。
魚艙内に漁獲した魚を生きたまま保管できるので鮮度が保たれます。特に暑い夏場の漁業では漁獲した魚の鮮度を保つために漁船において不可欠な装置となっています。
漁船のエンジンから直接電源をつなげることで比較的容易に設置することができ、また装置自身の大きさも場所を取ることなく漁船に搭載できます。
海水冷却装置の使用用途
魚艙内の海水を直接冷やすことで漁獲した魚の鮮度を効率的に保つことが可能になり、近海漁業では収益の増加に繋がるため漁船にとって非常に重要な装置になっています。
この装置が導入される以前は魚の鮮度を保つために氷を使っていましたが、氷を運ぶ・砕く作業なで漁業関連者の体にも負担がかかったり、魚も氷やけや氷による傷などで商品にならないこともありました。
海水冷却装置によってそういった漁業現場の悩みが解消され、漁獲した魚を新鮮なまま市場に届けることが可能です。
海水冷却装置の原理
海水冷却装置は氷などを用いずに魚艙または生簀内の海水を熱交換器や冷媒などを使って直接冷却します。魚艙内の海水を装置内の循環ポンプによって汲み上げ、熱交換器によって強制的に冷却し、それをまた魚艙内へ戻すことで冷却水を生成します。この操作を繰り返し行うことで漁獲した魚を新鮮に保てる水温にまで下げることが可能で、海水温は常温からおよそ摂氏0度近くまで下げることができます。また、循環式であるために海水をムラなく均一に冷やすことも可能です。
多くの海水冷却装置に搭載されている熱交換器にはチタン製のものが用いられています。チタンは金属の中でも熱伝導性が強く(冷却効率が高い)海水などに対して腐食しにくい、つまり有害な金属イオンが海水中に溶け出すことがないという特性を持ちます。そのため効率よく海水を冷却することができ、漁獲した魚を溶け出した金属イオンなどで汚染しないまま鮮度を保つことが可能です。