気体流量計

気体流量計とは

気体流量計

気体流量計とは、配管などの内部を流れる気体の量を測定する機器です。

測定原理や測定したい流量によって、数多くの形式や構造の製品が存在します。以前は気体に接触して流量を測定する機器が主流でしたが、近年では、気体に接触せずに測定する非接触型が多く製品化されています。例として、超音波式気体流量計やコリオリ式気体流量計などが挙げられます。非接触型は、測定の困難な高温流体や腐食性流体などを測定するのにも好適です。

気体流量計の使用用途

気体流量計は、配管内部や、特定の構造内部を流れる気体の単位時間当たりの堆積や重量を測る目的で、幅広い産業分野において活用されています。

生活に身近な用途としては、ガスの使用量を管理する気体流量計があります。都市ガスなどはセントラル供給されるため、各戸での使用量を把握する必要があり、気体流量計が使用されます。また、ボイラや炉、空調設備などの省エネ対策のために設置しているケースも多くあります。

気体流量計は、流通する気体の量を測る装置ですが、これに気体の流量制御機能を付加した流量制御器も存在します。

気体流量計の原理

気体流量計には複数の計測方法があり、測定対象の気体の性質、温度、適した測定範囲などで使い分けます。ここでは、非接触で測定する非接触型の種類を解説します。

1. 超音波式

超音波式は、近年多く利用されている非接触式の計測方式です。ドップラー効果を利用したドップラー式と、伝播時間の差を利用したトランジットタイム式があります。

トランジットタイム式の気体流量計は、一対のセンサーを気体が流れる配管の外から気体を斜めに横切るように設置して測定する装置です。一方のセンサーから超音波を発し、他方のセンサーで気体を通過してきた超音波を受信します。そして、この動作を一対のセンサー間で送受信を交互におこないます。超音波は気体を通るため、気体の流れに逆らえば超音波の伝播は遅くなり、流れに乗れば伝播が速くなります。この伝播速度の差を流量に換算して気体の流量を計測します。

非接触で計測するため、高温、腐食性の気体も測定可能です。また、非接触のセンサーを使用しているため気体を汚染することがなく、圧力損失もない点がメリットです。

2. コリオリ式

コリオリ式は、コリオリの原理を元とした計測方法です。U字型のパイプの中に流体を通しながら振動させると、流体の入口側と出口側で反対方向の変形が起き、パイプにねじれが生じます。このねじれ量は流体の質量と速さに比例するため、ねじれ量から気体の流量を測定することが可能です。

3. 熱式

熱式気体流量計では、流体を加熱できるヒーターを配管内に設置し、気体の流れる方向にヒーターを挟むように、配管の外側に2つのセンサーを設置します。

熱式気体流量計の流量測定方法には、温度差測定法と、消費電力測定法の2つがあります。温度差測定法は、ヒーターで加熱される前後の気体の温度を測り、温度差から流量を算出します。一方の消費電力測定法では、ヒーターの前後の温度差が一定になるようにヒーターの電力を制御し、その電力から流量を算出します。

極微量の流量でも計測できるのがメリットです。しかし、ヒーターを流体に接触させる必要があるため、決まった気体しか測定出来ないということや、不純物を含む気体の場合、ヒーター部が汚れて測定値の精度が下がるなどのデメリットがあります。

気体流量計のその他情報

気体流量計には、先に述べた非接触型のほかに、気体に接触して測定するものもあります。

1. 差圧式

差圧式は、ベルヌーイの定理を根拠とした測定方法です。配管の中にオリフィス (絞り弁) を設置し、オリフィスを通過する前後の圧力損失を測定するダイヤフラムも配管内に設置した構造です。

安価なため、一般に広く利用されています。しかし、オリフィスを使用しているために圧力損失が大きく、流路内の流速分布が不均一な場合は測定値が不正確になるなどのデメリットがあります。

2. 浮き子式

浮子式は、流体によって上下する浮き子の位置で流量を測る方法です。構造が簡単なためコストを低くできます。また、流体が流れるエネルギーを利用しているため、電源などほかのエネルギーを必要としません。

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