デジタル台はかりとは
デジタル台はかりとは、主に30kg~3000kgまでの物の質量を測定するはかりのことです。
一般的に、1/3,000~1/6,000 (目量/秤量) の精度がある高精度はかりを指します。台はかりとは、台の上に量りたい物を置き、台の沈み込みを利用して質量を計測する計量器です。
外観の観点から、操作や表示を行う「指示部」と量る物を置く「載台部」が一体となった一体型と、分かれているセパレート型に分類できます。内部構造の観点からは、荷重を電気的に検出してサオが水平となるように電磁力を加減する「電磁式」と、荷重に比例した電気信号を検出する「ロードセル式」に分類できます。
デジタル台はかりの使用用途
デジタル台はかりの使用用途は、物品や農水産物の計量からトラックなどの計量まで、多岐に渡ります。用途によって小さいものから大きいものまであり、トラック計量用では地面に埋め込まれたもの、家畜計量用では水洗いできるようになっているものなど種類は多いです。
工場などでフォークリフトを運用する時は、使用されるパレットと計量台が一体となったもの (一体型デジタル台はかり) を用い、計量したものをそのまま移動させる場合もあります。LPガスやガソリンなどの石油系材料、粉塵爆発の危険性がある物を扱う現場や工場にも用いられ、この場合は防爆構造のものが使用されます。
デジタル台はかりの原理
デジタル台はかりの原理は、種類によって異なります。
1. ロードセル式デジタル台はかり
ロードセルは荷重を電子に変える変換器で、金属の起歪体 (きわいたい: 外力によりひずみを発生させる部品) にストレインゲージという電気抵抗線歪計 (センサー) をはりつけ、その抵抗値の変化を測定します。
金属の弾性を利用するため、原理はばねばかりと同じです。また、重量が歪みをもたらしており、直接質量を求めることができません。そこで、分銅で表示値の校正を行うことで、表示値を便宜上質量として扱うことができるようになります。精度はばねばかりより格段に高いものです。
2. 電磁式デジタル台はかり
電磁式は、「零位式」「フォースバランス式」とも呼ばれるものです。天秤のような構造の装置の一方に量りたいものを載せます。
他方にはフォースコイルが備えられ、これに電流を流して電磁力を発生させ、天秤が釣り合うようにします。ここで、釣り合ったときにフォースコイルに流れた電流を測定することで、重さを定量化するという原理です。
電磁式においても、釣り合わせる電磁力の強さは重量に関係しているため、単独では質量を求めることができません。そこで、あらかじめ質量既知の分銅で校正を行い、天秤に載った質量と、釣り合わせる電磁力を関係づける (校正する) ことで質量を表示できるようにします。
このように考えると、電磁力を仲立ちとして天秤はかりの機能を実現しているとも言えます。ロードセル式ストレインゲージに比べると、機械的に繊細な天秤構造を用いていることもあり、より軽量で微小なものを量る際に適しています。
デジタル台はかりのその他情報
1. はかりのタイプと原理
はかりには、ばねの弾性を利用して重量 (万有引力の量) を測定する「ばねばかり」と、つりあいを利用して質量 (物質のもともとの量) を測定する「天秤はかり」があります。ばねばかりは、ばねの伸びが物体の重さに比例する (フックの法則) ことを利用して、ばねの伸びを測定して重量を量ります。
天秤はかりは、質量既知の分銅を用いて、物体と分銅をつり合わせ (各々の重量が等しい状態を作り) 、分銅の質量から物質の質量を求めるものです。現在のデジタル台はかりは、ロードセル式と電磁式が主流です。
2. 校正
デジタル台はかりに校正は必須です。機械式の天秤では、常に分銅を使用するので、校正を意識することがありません。分銅と量りたいものは同じ環境に置かれるため、すべての環境因子が相殺されているとも言えます。一方、デジタル台はかりでは計量時に分銅を用いないため、計量時の環境であらかじめ分銅を用いた校正が必要です。
校正の必要性を別の角度から述べると、重力は地域によってわずかに異なることも一要素です。地球の自転の遠心力のため、赤道付近では重力がわずかに小さくなります。具体的には、北極・南極より0.5%小さくなります。赤道や北極というと身近に感じにくいですが、北海道と沖縄の間でも0.15%程度の違いがあります。
つまり、台はかりを製造、調整して出荷したとしても、校正をしなければ表示値は正しくならないということです。実際的な環境因子として、気圧も影響します。量る対象の物体や秤量皿といったものも、空気の浮力を受けているためです。そこで、求める精度によっては毎日 (日を跨ぐと天気が変化し気圧も変化すると考えて) 校正する必要があります。
参考文献
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