タッピングボール盤

タッピングボール盤とは

タッピングボール盤

タッピングボール盤とは、卓上ボール盤 (穴あけ専用) にタッピング機能を追加した工具のことです。

タッピング作業では、正転と逆転の切り替えが重要であり、タッピングボール盤はスイッチ操作で逆回転が可能です。そのため、ねじ切りを行った後、逆転させてタップを簡単に抜き取ることができます。

タッピングボール盤には、既存のボール盤に手を加えて改造ボール盤と、最初からタッピングボール盤として設計されたタイプがあります。最初からタッピングボール盤として設計されたタイプの方がねじ切りの正確性が高く、M1やM2などの極細タッピングも可能です。一方、改造ボール盤では極細タッピングは難しい場合があります。

タッピングボール盤は精密なねじ切り作業に適した工具であり、DIYや工業用途で幅広く活用されています。どちらのタイプを選択するかは、作業の目的や予算に応じて決めると良いです。

タッピングボール盤の使用用途

タッピングボール盤は、金属加工金型工場や金属加工業界、設備の保全業務などで幅広く使用されています。金属加工の分野では、ねじを切る (タッピング) 作業が頻繁に行われるため、タッピングボール盤は重宝されています。

例えば、金型工場では金型製造時に300以上の部品が組み込まれることが一般的です。金属プレートやパンチ、ダイなどの部品は六角穴付きボルトで固定されるため、タッピング箇所は部品点数を上回ることが多々あります。このような作業においてタッピングボール盤は、生産性向上に大きく寄与しています。一部の工場では、専属の作業者が一日中ねじを切る作業を担当している場合も多いです。

タッピングボール盤を活用することで、緻密で正確なねじ切り作業が効率的に行えるようになります。また、設備の保全業務では、機械や部品の修理や交換が必要になった際に、タッピングボール盤を用いて新たなねじを切ることが求められます。

タッピングボール盤の原理

タッピングボール盤は、穴あけ加工とタッピング作業を効率的に行う工作機械で、スイッチ1つで切り替えが可能です。スピンドル回転数は、ベルトカバー内のVベルトの掛け方によって調節されます。インバーター制御を利用すれば、タッピングサイズを素早く変更可能で、加工材質やサイズに合わせた回転数に調節することができます。

タッピングボール盤を使用すると、手作業で繰り返す必要のある切り込みと戻しの作業が不要になり、例えばM6タップを深さ2cm切るのに約4秒しかかかりません。しかし、SKD材や焼き入れ品などの加工には注意が必要で、高負荷がタップ破損の原因となるため、スピンドル回転数を低速に調整することが重要です。

また、このような材質を加工する際には、タッピング作業で切り込みと戻しを繰り返す必要が生じ、スイッチの頻繁な切り替えが求められます。切り替えの場合、両手が離せないため、フットスイッチの利用がおすすめです。

タッピングボール盤の種類

タッピングボール盤には、主に「改造型タッピングボール盤」「専用タッピングボール盤」「インバーター制御タッピングボール盤」の3種類が存在します。

1. 改造型タッピングボール盤

改造型タッピングボール盤は、通常の卓上ボール盤にタッピング機能を追加したものです。既存のボール盤を改造することで、コストを抑えつつタッピング作業が可能になります。ただし、改造型では極細タッピングが難しい場合があり、精度が必要な作業には向いていません。

2. 専用タッピングボール盤

専用タッピングボール盤は、最初からタッピング作業用に設計されたボール盤です。高精度のねじ切りが可能で、極細タッピングにも対応しています。改造型に比べて高価ですが、プロフェッショナルな作業に適しています。

3. インバーター制御タッピングボール盤

インバーター制御タッピングボール盤は、インバーター技術を用いて回転数を素早く変更できる機能を持っています。タッピングサイズや加工材質に応じて、回転数を瞬時に調節できます。効率的な作業が求められる場面で非常に役立ちます。

参考文献
https://www.kiracorp.co.jp/wp-content/uploads/2014/12/bdd77f6ccedd58625555f9db178b5348.pdf
https://www.kiracorp.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/4060beacbf9ed8d9081b8a25d4275965.pdf

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