マークチューブとは
マークチューブは、電線にかぶせて、その電線が何であるか判別できるようにするためのチューブです。線番などが印字されたマークチューブを電線にかぶせ、主に制御盤の配線部分が判別できるようにして使用します。マークチューブを使用することで、配線を間違えないようにすることができ、使用しない場合と比べて格段に作業効率が上がります。マーカーチューブと呼ばれることもあります。
マークチューブは、自分で番号を記入する場合もありますが、いくつかのナンバーがあらかじめ印字されている製品もあります。また、特殊な文字などが必要な場合は、受注生産を受けているメーカーに依頼することができます。
また、チューブマーカーと呼ばれるマークチューブに印字ができる専用のプリンターも販売されています。
マークチューブの使用用途
マークチューブは、電線を判別できるよう主にマーキングの目的で使用されています。展開接続図の図面に記載されている線番どおりに、マークチューブを利用して電線にかぶせていきます。通常電線の両端に、マークチューブをつけて判別できるようにして使用します。
複数の人員で作業を行う場合などは特に、マークチューブを利用することで配線ミスを防ぐことができます。メンテナンスの際にも便利です。
マークチューブはビニール製のチューブなので使い勝手が良く、マーキングのためだけでなく電線の保護や絶縁用途として使用されることもあります。
他に、圧着端子の識別やその絶縁用に使用することもできます。
マークチューブの種類
マークチューブの色は白で黒字で印字されているものがほとんどで、内径についてはΦ2mm程度から8mm程度まで展開していることが多いです。通常はマークチューブの断面は円形ですが、楕円形のマークチューブもあり、円形よりもずれにくくなっています。
また、マークチューブの文字ついては、あらかじめ印字されているものとされていないものがあります。
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無地タイプ
自分でラベリングできます。もしくはマークチューブ用プリンター(チューブマーカー)を利用して必要な量を印字することができます。チューブマーカーはテプラと構造が似ていて、使い方は簡単です。
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番号が記載してあるタイプ
1~50程度の数が2cmおき程度にすでにチューブにプリントされており、自分でカットして必要な数字の部分を使用します。すでにカットされているものもあります。
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番号を受注生産するタイプ
特殊な記号や文字数が多くプリンターで印字できない場合などは、受注生産でオーダーすることができます。内径が小さいマークチューブはとくに印字しづらかったり、自分で書きづらいことが多いので、メーカーに依頼したほうが見やすいことが多いです。
マークチューブの材質
マークチューブの材質には軟質のポリ塩化ビニールが多く使用されています。ポリ塩化ビニールはPVCと省略されて表記されています。軟質ポリ塩化ビニールは柔らかく、比較的難燃性が高く、耐候性もよく、プリントの着色性もよい素材です。それでいて価格も安く抑えられています。ただ、耐熱性はあまり強くなく、60℃程度で劣化や融解の危険性が出てくるので、高温になる可能性がある場合は別の材質を選択するようにします。
また、完全にハロゲンフリーの材質が使用されているマークチューブは、ハロゲンフリーチューブなどとも呼ばれ、鉄道車両用や、環境保護意識の高い現場等で利用されています。
マークチューブの使い方
マークチューブは印字された番号が見やすくなるよう、左右、上下とも同一方向から読めるように向きを整えて電線にかぶせます。上下方向には、番号が下から始めるよう、左に顔を傾けて見やすい向きに統一します。左右方向は、そのまま番号が読めるよう統一します。
また、マークチューブの内径は、電線よりも大きくなるように選択しますが、大きすぎてもずれやすくなってしまうので、事前に表などを利用してよく確認する必要があります。