シールドチューブとは
シールドチューブは電線をまとめてカバーすることができるチューブで、電線から発せられる電磁波をカットすることができるので、主にEMC対策、ノイズ対策として使用されています。また、水滴やほこり、摩擦などからも電線を保護することができます。
シールドチューブの内側は主にアルミ箔でコーティングされています。アルミ箔は電磁波をシールドする効果があります。電線に電流が流れると、その電流に起因して電磁波が発生するため、そのまま使用すると重要な機器の信号等に影響が出る恐れがあります。そのため、シールドチューブを利用したノイズ対策が行われています。
シールドチューブはマジックテープ等で広げられるようになっているので、繰り返し電線をまとめられるようになっています。マジックテープ以外にもホック留めや、ツインレール、面ファスナーといったタイプもあり、用途に応じて使いやすいものを選ぶことができます。ノイズプロテクトチューブや、ケーブルシールドと呼ばれることもあります。
シールドチューブの使用用途
シールドチューブは電線から発せられる電磁波をシャットアウトし、さらにほこりなどからも保護する用途で使用されています。そのため、シールドチューブは精密機器や、計測機器、医療用電子機器、ロボット、OA機器など、電磁波のノイズが深刻な影響を及ぼす場所で利用されます。
シールドチューブは、使用したい長さの分をはさみでカットすることができ、工具を使用せずに電線をまとめられるため、誰でも簡単にEMC対策ができます。また、ほとんどの製品は繰り返し使用できます。
シールドチューブを使用する際には、チューブの内側からのグランド接地がノイズ対策に重要な役割になっていますので、グランド接地を忘れないようにします。
また、シールドチューブにより単純に電線をまとめることができるため、結束の用途で使用されることもあります。
シールドチューブの原理
シールドチューブは主に、外側がPVCと呼ばれる軟質塩化ビニル樹脂で、内側がアルミ箔で構成されており、広げることができます。アルミニウムなどの導電率の高い金属は、基本的に電磁波を反射、あるいは吸収する性質があります。それぞれの金属箔の持つ、電磁波の吸収損失、反射損失、多重反射損失という特性を利用して、電線からの電磁波を減らすことができます。
電線に電流が流れると、電磁波が発生するため、重要な機器においては信号等に影響が出る可能性が考えられます。そこで、電線にシールドチューブをかぶせて、電磁波をカットするノイズ対策が行われています。金属箔の厚みが厚いほど、電磁波のカット効果は高くなります。
すべての周波数の電磁波に対応できるわけではありませんが、こうした金属のシートを電線にかぶせることで、ある程度電磁波を反射し減衰させることができます。
アルミ箔は安価で加工しやすいのでシールドチューブに多く利用されていますが、その他にも、効果の高い銅箔や、ニッケルや銅などをめっきした導電布などが利用されている製品もあります。
シールドチューブの選び方
シールドチューブは、まず留め方がさまざまに展開されているので、使いやすいものを選びます。マジックテープやファスナー、スナップボタン、編み込み式、両面テープなどがあります。専用の工具でしっかりと固定できる製品もあります。
また、両面テープなどは繰り返し使用できないので、注意が必要です。
シールドチューブの性能については、製品によっては電界と磁界の周波数と減衰度合がグラフで公開されているので、そちらで比較することができます。また、使用されている金属箔の厚みが厚い製品のほうが一般的に効果が高いと推測できます。
シールドチューブはアース線をグランド接地する必要があり、チューブ自体にアース用の編組線が同封されていて、そのままグランド接地できる製品が便利です。また、銅箔のシールドチューブは、銅箔に直接はんだ付けをしてアース線を取り付けることができる製品もあります。