ジョイントブーツとは
ジョイントブーツは、等速ジョイントやボールジョイントなど継手部分の潤滑用グリスの封入や、外部からの異物の侵入を防ぐために用いられるゴム製の保護具です。
使用する継手部分の可動方法により「遠心力・伸び縮み・曲げ」の動きに適応するものと「傾き」に対応するものに大別され、前者は主に回転部分。後者は非回転部分に用いられます。
サイズ表記には主にミリメートル(mm)表記が用いられ、「大径部直径・小径部直径・長さ(高さ)」で各バンドがラインナップされています。
ジョイントブーツの使用用途
ジョイントブーツは主に、次に上げるような自動車部品の継手部に多く用いられています。
- 駆動部分:「ドライブシャフトの等速ジョイント部」
- 懸架装置:「サスペンションアームとナックルのボールジョイント部」
- 操舵装置:ラックアンドピニオン式の場合「タイロッドエンドとナックルアーム」ボールアンドナット式の場合は「ピットマンアームとドラッグリンク」「ドラックリンクとナックルアーム」「ナックルアームとタイロッドエンド」
懸架装置や操舵装置にはボールジョイントブーツが用いられ、駆動部分にはドライブシャフトブーツが用いられていますが、非分割式ドライブシャフトブーツは交換時に「ハブ」「ナックル」等のドライブシャフトから先の部品の脱着を伴い、大きな手間となってしまいます。
この手間を省くために大径部~小径部にかけて1箇所の切れ目を設け、装着時に接着剤を使用し密閉する分割式ドライブシャフトがラインナップされています。
ジョイントブーツの原理
ジョイントブーツが使用される部分は「何度も繰り返し曲がる・回転する」「砂埃や水に絶えず晒される」など過酷な状況、環境に置かれます。
加えてジョイントブーツの素材にはゴムが用いられているため、劣化による切れ・割れが生じます。
特にドライブシャフトブーツは絶えず高速回転する部分に使用されているため、切れ・割れが生じた状態で走行した場合は遠心力によって封入されているグリスが一気に漏洩し、グリス不足による異音やガタつきの原因となり、更に放置するとジョイント部の破損により走行不能となるほか、最悪の場合交通事故の原因となり得るため、日頃から目視による定期点検を行う必要があります。
また、分割式のブーツの場合は非分割式と比べ安価で手軽に交換できるというメリットがありますが、溶着剤を用いて分割部分を繋ぎ合わせる際、溶着が不十分な場合に継ぎ目からグリスが漏れ出てしまうほか、非分割式と比べ耐久性が低いというデメリットを持っています。
そのため、作業時には溶着面のグリスの除去や溶着剤不足に注意し交換する必要があります。
参考文献
https://www.jms-car.com/maintenance/menu/driveshaft_boot/