穴あきマルチとは
穴あきマルチとは、作物の種まきや苗を定植する土壌の畝上を覆う農業用マルチシートの1種です。
穴あきマルチの名前の通り、マルチシートに決まった間隔や大きさで穴があらかじめ空けられています。広い面積で同一作物を栽培する農家や畑の除草作業を頻繁にできないという家庭菜園の方に使用される場合が多いです。
マルチ資材は、プラスチックフィルムやウッドチップ、ワラなどさまざまな素材がありますが、穴あきマルチは主にプラスチックフィルムでできています。マルチシートの長さが長い (50m以上など) 場合は、筒に巻いた状態で種苗店やホームセンターなどで販売されてます。
穴あきマルチの使用用途
1. 雑草対策
作物の近くに雑草が生えていると、土壌の養分を吸収されたり、雑草が害虫のすみかになったり悪影響が出てしまいます。穴あきマルチを使用すると、穴以外の箇所では雑草の発芽や成長を抑制し、雑草対策が可能です。
雑草対策ができる理由は、マルチシートに植物の発芽や成長に必要な日光を遮る効果があるためです。特に黒色のマルチシートでは日光を遮る効果が高く、雑草対策に向いています。
2. 乾燥抑制
穴あきマルチを使用すると、マルチシート下の土壌を保湿する効果があります。土壌を保湿することで作物の生育に必要な水分を確保できるため、穴の部分に撒いた種の発芽率を高めたり、成長がよくなったりします。
土壌の保湿は、マルチシートに乾燥した風や強い光が直接土壌にあたるのを防ぐ効果があるためです。
3.病害虫の予防
穴あきマルチには病害虫の予防効果があります。土壌には病気を発病させる可能性がある菌が潜んでいることが多いです。
その菌が雨によりはね上がり、作物にかかることで、病気が発生する場合があります。穴あきマルチを使用すると、雨による泥はねを防げるため、作物を守る効果が発揮されます。
また、マルチシートで反射する太陽の光を嫌って、害虫が近寄って来なくなることも多いです。シルバー色のマルチシートでは、より光を反射しやすいため、より高い害虫予防の効果が期待できます。
4. 地温管理
穴あきマルチは地中温度を調節可能で、植え付け期間の幅を広げることができます。まだ気温があまり高くない春先に、マルチシートで地中温度を温め、少し早めに栽培を開始することができます。
保温性のある黒色マルチシートを使用するとより効果が高いです。また、夏場の高い気温において、マルチシートで熱を吸収し作物が育ちやすい地中温度まで下げ、栽培できるようにする働きもあります。夏場の吸熱には、熱を吸収しやすい白色マルチがよく使用されます。
5. 土の流亡の防止
穴あきマルチには、畑の土の流亡を防止する効果があります。雨や強風により土が流されたり、飛ばされたりすると畑の土が減少したり、畑の肥料分まで一緒に流されてしまったりします。
土の流亡の防止は、マルチシートが雨や強風が土に直接当たるのを防いでいるためです。
穴あきマルチの特徴
長所
- あらかじめ穴が空いているので、植え付け作業が簡単。
- 雑草対策や乾燥抑制により水やりの回数が減るため、作業の省力化につながる。
- 地中温度を調整することにより、促進栽培や抑制栽培など栽培期間を広げることが可能。
- 病気や害虫の予防になる。
短所
- 多くの場合、穴なしマルチより価格が高く設定されている。
- 株間や穴の大きさが一本で同じなので、異なる作物では使いにくいことがある。
- マルチシートで覆うため、土下の様子が見えにくい。
- マルチシートをした状態での土寄せ作業などがやりにくい場合がある。
穴あきマルチその他情報
穴あきマルチ規格の見方
穴あきマルチの包装紙に9515や3330、3715などの4桁の数字が書かれている場合があります。この数字は穴あきマルチの穴の間隔や穴列数などの規格を表しています。
4桁の数字、左端の数でマルチシートの幅を表しています。数字は主に9と3です。9の場合、マルチシートの幅が95センチです。3の場合、マルチシートの幅が135センチを表しています。
4桁の数字、左から2番目の数でマルチシートの穴列数を表しています。3の場合、マルチシートの幅の中に3列の穴があります。5の場合、マルチシートの幅の中に5列の穴があることを表しています。
4桁の数字、左から3番目と右端の2つの数でマルチシートの穴と穴の間隔を表しています。15の場合、マルチシートの穴と穴の間隔は15センチです。30の場合、マルチシートの穴と穴の間隔は30センチあり、30センチごとに穴が空いていることを表しています。
9515の例
4桁の数字が9515の場合、マルチシートの幅95センチ内に5列の穴が15センチ間隔で空いている穴あきマルチという意味になります。穴あきマルチでは、栽培したい作物に適した規格のものを使用することが望ましいです。
そのため、穴あきマルチの幅や穴の間隔を確認してから購入することが重要です。