音響パワーレベルとは
音響パワーレベルとは、音が単位時間に発生するエネルギーの総音響出力に対して、基準となる音響出力10の-12乗との比を常用対数に換算して10を掛けたものです。
単位はdBで、音圧レベルでも同じ単位を使用しますが、音圧レベルは定義が異なります。音圧レベルは測定した音圧に対して、基準となる2×10の-5乗との比を常用対数に換算して20を掛けたものです。音響パワーレベルは発生源の測定値を指しますが、音圧パワーレベルは測定点における音の強さを表します。
音響パワーレベルの使用用途
音響パワーレベルは測定環境や場所に依存しないため、条件を指定することなく、製品仕様の記載、騒音規制値の表示に使うことができます。音響パワーレベルが把握できれば、そこから距離減衰による音圧パワーレベルを計算することができます。
1970年から汎用的な音響パワーレベルの測定方法について、アメリカ、ドイツ、フランスを中心にISO規格が作成されました。日本では、1980年代後半から、ISO規格に準じた音響パワーレベル測定のJISが制定されてきました。まず、空調機器、建設機械、複写機で音響パワーレベルの測定が普及されました。
音響パワーレベルの原理
音響パワーレベルの測定方法として、音場によって以下の種類があります。
1. 実用半自由音場法 (A法)
半自由音場と見なせる、響きの少ない大きな室や屋外などに適用しており、JISZ8731で規定されている精密法に従った精度で測定しています。ISO3744に対応しています。
2. 簡易半自由音場法 (B法)
A法よりも狭い通常の室などを想定しており、反射音の影響があって、半自由音場法の原理に従って測定点が配置できる場所で、簡易的に音響パワーレベルの概略値を測定する方法です。ISO3746に対応しています。
3. 簡易拡散音場法 (C法)
ある程度以上の残響がある状況を想定し、壁・床・天井などの境界面が特定できる室内で、音響パワーレベルを拡散音場法の原理に従って簡易的に測定する方法です。直接対応しているISO規格は存在していません。C法は、ビルや工場の機械室・一般の室、工場試験室などでの測定に広く適用できるよう、加えられた方法です。
それぞれの方法で、オクターブバンド音響パワーレベルとA特性音響パワーレベルを測定することができます。A法のみ、これらの他に1/3オクターブバンド音響パワーレベルと指向指数及び指向係数も測定することができます。