焼結体

焼結体とは

焼結体

焼結体とは、粉末状の金属を固めた後、融点よりも低い温度で原子同士を接合させることで緻密になる物体のことです。

焼結体初期の段階では、粉末の粒子同士が接合したネックを形成します。ネック表面にイオンや原子、分子が拡散することでネックが大きくなり焼結体の表面積が減少します。このときネックの直径は粒径に対して約30%になります。

焼結体の内部にある気孔の形状はチューブ状に変化して互いに繋がります。この状態の気孔を開気孔と呼びます。最終的には相対密度が95%を超え、気孔が焼結体内に分散し閉気孔の状態になります。

焼結体の使用用途

焼結体は圧延や鍛造など、塑性変形による加工ができない材料の成形に使用されます。例えば、粉末冶金や、セラミックの製造で適用されています。鋳型や湯の条件によって不良の発生有無が左右される鋳造に比べ、焼結は形状に自由度があるため、自動車のエンジン部品や駆動系の部品、小型の歯車や軸受など、複雑な形状を伴う部品に使用されています。

焼結は粉末にできる金属であれば、ほとんどの材料で対応が可能です。そのため、融点の高いタングステンモリブデン、高温になると他の元素と反応しやすいチタンを使用する部品にも焼結が適用されます。

焼結体のその他情報

焼結体の特徴

主な焼結の方法は常圧焼結と加圧焼結に分類されますが、新たな方法として電磁場支援焼結の研究開発が進んできており一部実用化が始まっています。

1. 常圧焼結
雰囲気を大気圧の状態で焼結する手法です。添加物により高温で液相を生成させて緻密化する液相焼結と、液相を生成させずに固相間で物質移動をして緻密化する固相焼結に分けられます。

2. 加圧焼結
とは外圧を与えて緻密化する方法で、ホットプレス焼結、熱間静水圧焼結などがあります。ホットプレス法は一軸の圧力を粉末に加え、熱間静水圧焼結はガラスや金属でカプセル化した粉体をガスで加圧して固化する方法です。

3. 電磁場支援焼結
パルス通電加圧焼結、マイクロ波・ミリ波焼結、電場支援焼結があります。パルス通電加圧焼結は加圧しながら数1000Aのパルス電流を導電性の型に流して焼結する方法で、ホットプレス法で対応できない高融点材料の焼結が可能です。マイクロ波、ミリ波は誘導体内部より自己発熱させて焼結する方法で、熱効率が高く短時間で加熱処理を行うことができます。粉末成形体へ直接通電しながら周囲の温度を上げることで、常圧焼結に比べ低い温度で焼結できます。

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