IPエンコーダとは
IPエンコーダとは、映像や音声などのデータをIPネットワーク経由で送信できる形式に変換する機器です。
ビデオカメラなどから出力される映像・音声信号はデータ量が大きく、IPネットワークにそのまま送るには不向きです。IPエンコーダは、これらの信号を圧縮してデータサイズを小さくし、ネットワーク帯域への負荷を減らす仕組みです。一般的には、H.264やH.265といった規格を用いてデータを圧縮します。
圧縮後のデータは、インターネット通信のルールに基づいた形式に変換されます。この変換処理により、データをLANやインターネットといった一般的なコンピュータネットワークを通じて送信できます。これにより、専用の映像ケーブルを敷設する必要がなくなり、既存のネットワークインフラを活用できる点が特徴です。
IPエンコーダの使用用途
IPエンコーダは以下のような用途で使用されます。
1. 商業・産業施設
工場や店舗といった遠隔監視が必要な場所で活用されます。監視カメラや産業用カメラの映像をIPエンコーダに入力し、IPネットワーク経由で監視センターなどへ送信します。既存のネットワークインフラを活用して、24時間体制での安全確認や、複数の拠点を一元管理する監視システムを構築できます。
2. イベント会場
コンサートホールやスポーツ競技場といったイベント会場でも活用されます。プロ用のカメラで撮影された高画質な映像と音声は、IPエンコーダによる圧縮・変換が必要不可欠です。IPエンコーダにより配信サーバーや放送局に、インターネット回線でリアルタイムでデータを送信できます。遠隔地の視聴者へ生中継を配信する一般的な仕組みです。
3. 公共施設
学校や病院などの公共施設では、情報共有と教育のインフラとしてIPエンコーダを活用します。学校では、講義や講演会を撮影し、その映像をIPエンコーダで変換します。これにより、別のキャンパスや教室へリアルタイムに配信する遠隔授業が可能です。また病院では、研修医がいる別の部屋に手術室の高度な映像を配信する医療トレーニングなどに利用します。