オンラインTOC計とは
オンラインTOC計とは、水中に含まれる有機物の量を連続かつ自動的に測定する分析装置です。
TOCはTotal Organic Carbonの略であり、全有機炭素と訳される水質汚濁を示す指標の一つです。水中に含まれる有機物の総量を、構成要素である炭素の量で表した値です。測定したい水配管などに直接設置し、自動で試料水を採取して分析を行います。これにより、水質の状態をリアルタイムで把握する仕組みです。
従来の分析方法では採取した水を分析室に持ち帰って測定していました。それに対し、オンラインTOC計を用いることで、24時間体制での連続監視が実現できます。測定原理は、試料水中の有機物を紫外線や燃焼によってCO2に分解し、その量を赤外線分析計で測定する方法が一般的です。
オンラインTOC計の使用用途
オンラインTOC計は以下のような用途で使用されます。
1. 半導体製造装置
半導体の製造プロセスでは、シリコンウェハの洗浄などに超純水を大量に必要とします。ナノメートル単位の微細な電子回路を形成する半導体にとって、水に含まれるわずかなTOCも欠陥を引き起こす原因です。オンラインTOC計を超純水の製造ラインや使用ポイントに設置することで、万が一の汚染発生も瞬時に検知できます。
2. 化学プラント・発電所
化学プラントや発電所で使用されるボイラは、高温・高圧の蒸気を発生させるために純水を使用します。このボイラへ供給される水に有機物が含まれていると、配管の腐食やスケールの付着に直結します。配管の腐食は設備の寿命を縮め、スケールの付着は熱の伝達を妨げてエネルギー効率を低下させる要因です。オンラインTOC計で水質を連続監視することで、プラント全体の安全で効率的な稼働を維持できます。
3. 環境設備
工場から河川や海へ排出される水の水質管理は、環境保全における重要な課題です。オンラインTOC計は工場排水の最終放流口に設置し、排出基準を遵守していることを24時間体制で監視するために用います。また、河川などの公共用水域に設置し、水源の水質を常時監視する用途でも活用されます。