断熱型枠

断熱型枠とは

断熱型枠とは、断熱性を持つ素材で構成された型枠で、コンクリート構造物の施工時に使用される建材です。

使い捨て型枠や再利用型枠と異なり、施工後も撤去されずにそのまま残り、断熱層として機能します。主にEPS (発泡ポリスチレン) やXPS (押出ポリスチレン) などの高性能断熱材が使用されており、軽量で扱いやすく、施工効率にも優れています。

断熱型枠は、コンクリートの硬化中に温度変化を緩和し、ひび割れのリスクを低減する効果もあります。また、完成後は外壁や基礎部分の断熱材として、建物の省エネ性能を高める役割を果たします。断熱型枠の使用には寒冷地での施工の合理化、省エネ建築の推進、設備基礎の断熱強化などのメリットがあります。

断熱型枠の使用用途

断熱型枠は、断熱材の取り付けや型枠の撤去作業が不要なため、以下のような場面で活用されています。

1. 建設・土木

寒冷地でのコンクリート施工では、低温による硬化不良や強度不足が懸念されます。従来は仮囲いや加温設備による養生が必要でしたが、断熱型枠を用いることで、コンクリートの水和熱を保持し、外気温の影響を抑えながら自然養生が可能となります。特に河川構造物や橋脚、擁壁などの冬期施工においては、工期短縮と品質安定の両立が実現できます。

2. 住宅・建築資材

断熱型枠は、基礎や床スラブの断熱性能を高める目的でも活用されています。打設後に型枠を撤去する必要がなく、そのまま断熱材として機能するため、省力化と断熱性能の向上を同時に実現できます。断熱型枠を用いることで、冷暖房効率の向上や結露防止にも効果があります。

3. 工場・倉庫

大型施設の基礎や床面においても、断熱型枠は有効です。特に冷蔵倉庫や食品工場など、温度管理が重要な施設では、床スラブの断熱性能が建物全体のエネルギー効率に直結します。断熱型枠を使用することで、施工時の断熱工事を簡略化でき、長期的な省エネ効果が期待されます。