白銅

白銅とは

白銅

白銅とは、を主体としたニッケルなどを含む合金です。

JIS (日本産業規格) H3100では、C7060とC7150の2種類が規定されています。白銅は耐食性、加工性、強度、硬度、鋳造性、美しい色合いなど優れた特性を持つため、多様な用途に使用されています。

導電性が良く耐食性を持っているため、電気配線などに利用されます。また、鋳造性が良いため楽器に使用され、特に金管楽器に広く利用されています。美しい色合いと耐食性の高さから、コインやメダルの製造にも適しています。

白銅の使用用途

1. 電気部品、電子部品

配線、コネクタ、回路基板、電気抵抗器、コイル、トランスなどが挙げられます。

2. 電気回路

高周波回路、RFIDアンテナなどが挙げられます。RFIDアンテナとは、RFID (英: Radio Frequency Identification) 技術に使用されるアンテナで、無線周波数で情報を送受信するために使用されます。

3. 自動車

ラジエーター、クラッチ部品 (クラッチディスクなど)、バッテリー端子、などが挙げられます。クラッチディスクとは、自動車やオートバイなどの車両において、エンジンとトランスミッション (エンジンの出力を車輪に伝えるために用いられる機構) をつなぐクラッチ機構の一部であり、エンジン出力を伝えるための部品です。

4. 建築

屋根、外壁、ドアノブ、金属製フェンスなどが挙げられます。

5. 熱交換器

蒸気タービン、空調機器、冷凍庫などが挙げられます。

6. 医療機器

手術器具、人工関節、歯科用具などが挙げられます。

7. 金属部品

ネジ、ワッシャー、バネ、歯車、シャフトなどが挙げられます。

8. 装飾

時計や照明器具、金属製の置物などが挙げられます。

9. スポーツ用品

ゴルフクラブ、テニスラケット、バイクフレームなどが挙げられます。

白銅の種類

JIS H 3320では,C7060とC7150の二種類の白銅が規定されています。化学成分は下表の通りです(単位は%)。

合金番号 Cu Pb Fe Zn Mn Ni その他
C7060 0.05以下 1.0

1.8
0.50以下 0.20

1.0
9.0

11.0
Cu+Ni+Fe+Mnが99.5以上
C7150 0.05以下 0.40~
1.0
0.50以下 0.20

1.0
29.0

33.0
Cu+Ni+Fe+Mnが99.5以上

白銅の性質

1. 色

白銅は銅と亜鉛の合金であり、銅と亜鉛はともに金属であるため、白銅は金属光沢のある材料です。また、銅は純粋な状態でも赤みがかった色をしていますが、亜鉛を添加することによって色を白くできるため、白銅は美しい白色をしています。表面が酸化しにくいため、輝きを長期間維持できます。

2. 加工性

白銅が良好な加工性を持つ理由は、以下の通りです。銅と亜鉛の合金である白銅は、柔らかく加工しやすい特性がある材料です。また白銅は、均一な組織を持つため、加工時に発生する応力を均等に分散し、加工性を向上させます。

さらに、比較的低い溶点と融点を持ち、簡単に加熱して形状を変えられるため、鋳造、鍛造、加工、切削など様々な加工方法が使用できます。

3. 耐食性

白銅は、耐食性に優れています。理由は、以下の要因によるものです。まず、亜鉛が酸化された際に酸化物皮膜を形成するため、腐食に対する銅の保護作用が強化され、さらに白銅合金中で亜鉛が陰極として作用することにより、酸化反応を妨げ、電気化学的な保護作用をもたらします。最後に、白銅は水中での安定性が高く、海水や淡水中でも腐食が進みにくいため、耐食性に優れています。

4. 熱伝導率

白銅は金属で一般的に熱伝導率が高いため、熱を効率的に伝えられます。また、白銅には亜鉛が含まれており、亜鉛は銅よりも熱伝導率が高いため、白銅に亜鉛が含まれていると全体的な熱伝導率が高くなります。白銅の結晶構造は密に配置された球状の粒子がランダムに配列しているため、熱伝導に適した構造を持っているのが特徴です。これらの要因が合わさって、白銅は優れた熱伝導性を発揮します。

5. 電気伝導率

金属である白銅は一般的に電気伝導率が高いため、電気を効率的に伝えられます。また、白銅に含まれる亜鉛は、銅よりも電気伝導率が高いため、全体的な電気伝導率を高める働きがあり、さらに、白銅は結晶構造が密に詰まっているため、電子が自由に移動できるため、電気伝導率が高くなります。

6. 強度、耐摩耗性

銅と亜鉛の合金である白銅は、硬さと柔軟性のバランスが取れており、強度が高く耐摩耗性に優れています。また、均一な組織を持ち、微細な結晶粒子がランダムに配置されています。そのため応力を均等に分散し、強度を向上させると同時に、微細な結晶粒子摩耗物質を拾い上げます。

具体的には、摩擦によって生じた摩耗物質が白銅の表面に付着すると結晶粒子が摩耗物質を包み込み、その摩耗物質の進行を防ぎます。微細な結晶粒子が摩耗物質を拾い上げることで白銅の耐摩耗性が高くなります。白銅は滑らかな表面を持ち、摩擦による熱の発生が少ないため、耐摩耗性が高くなります。

白銅のその他情報

白銅の磁性

銅は常温常圧下で弱い常磁性を示し、亜鉛も常温常圧下で弱い常磁性を持っていますが、それらを合金化した白銅は、磁性を持たない材料です。

これは、白銅が高い導電性を持っていることに深く関わっています。金属に電磁波が当たると磁場が発生し、その磁場が金属内部で電流を発生させる (電磁干渉) ことがあり 、例えば高周波回路などでは問題となることがあります。しかし、白銅は磁場を発生させず、また電磁干渉を起こさないため高周波回路などの電気回路部品に適します。

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