二重管

二重管とは

二重管

二重管 (英: double tube) とは、径の異なる管 (外管と内管) を同心として組み合わせた管です。

内管の損傷にともなう流失防止や内管に流す液体、気体の熱交換として使用されます。内管と外管の固定方法を工夫することで、外気等による変動を吸収できる製品もあります。

二重管の使用用途

1. 環境保全用途

環境省は水質汚濁防止法の改訂し、「地下水汚染の未然防止のための構造と点検・管理に関するマニュアル (第1版) 」を出しています。平成24年に施行が始まっています。

このマニュアルに伴う設備改善として、内管の流体が管の破損などで外部へ流失し、環境を汚染させないために外管が保護となり、さらに外管を透明とすることで、定期的検査において内管の異常を発見しやすくしています。

参考: 地下水汚染の未然防止のための構造と点検・ 管理に関するマニュアル

2. 熱交換器用途

二重管は、内管を流れる気体や液体と外管の流体とで熱交換を行うために多く使用されます。流体の詰まりが少なく、チューブをコイル状に曲げれば、所要スペースを小さくできます。

流れは並行流と対向流の二種類があります。内管の内面にフィンを付けたり、内管の外面にフィンを付けたりして、高性能化を図ることも行われます。

冷凍サイクルに使用される冷媒用二重管式熱交換器は、水冷凝縮器の場合、冷媒側の熱伝達率が非常に大きいので、水側の内管の内面にフィンを付けて、全体の伝熱効率を上げます。

3. 二重配管用途

身近な例は、浴槽の追炊き給湯管です。外管と内管の隙間を浴槽の湯が給湯器の方へ流れ、内管を追い焚きされた湯が浴槽の方へ流れます

また、FF式暖房機の給排気管に使用します。外管から外気を取り入れ、内管から排気します。壁の貫通部の用途です。空調ダクトにも吸気と排気用で二重管が使われています。

4. 二重壁構造用途

内管と外管との間の空間が無く、密着した二重壁構造です。冷間引抜きで製造され、管の内外で腐食条件が異なる場合に用いられます。火力発電設備の復水器や石油精製プラント、石油化学プラントの各種熱交換器用です。

外管が炭素鋼、内管が黄銅の組み合わせ、及び外管がステンレス鋼、内管が炭素鋼又はライフルチューブの組み合わせなどがあります。また、腐食条件への対応以外に、コストダウン策として活用される場合もあります。

5. 医療用途

気管切開用に使用されます。二重管を使って、吸気と呼気を行います。

6. 土木用途

二重管を使用して、2種類の薬剤を送り、先端で合流させて、対象地盤の特定の範囲を地盤改良します。

二重管の原理

二重管は内管と外管の材質の組み合わせによって、種々の特徴・特性があります。二重管の内管・外管とも熱伝導のよい材質を使用すると、熱交換器として使用可能です。外管に透明な樹脂などを使えば、内管の異常を素早く発見可能で、外管に強度がある透明な材質を使えば、内管に亀裂が生じても中を流れている物質の流出を防ぐことができます。

同じような材質の組み合わせでも、二重管の外管を内管の保護管とすれば、自動車用の配管のような高信頼性が要求される分野で利用可能です。内管・外管ともに透明性があり、外気によって変形しない材質を使うと、内管の水位を常時監視できます。

その他、二重管の内管と外管の先端をノズル形状にすれば、噴霧器にも使える管材となります。

二重管のその他情報

1. 水質汚濁防止法の指定有害物質

有害物質は28品目が指定されています。量に関係なく、微量でも対象になります。例えば、カドミウムとその化合物、シアン化合物、パラチオンと呼ばれる有機燐化合物、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、砒素及びその化合物、水銀及びアルキル水銀その他の水銀化合物、ポリ塩化ビフェニル、トリクロロエチレンなどが該当します。

また、適用を受ける「施設」の範囲は、配管等、排水等の表現であり、特定施設に接続されているすべてです。

2. 二重管の活用

法規制に対する措置は、種々の方法がありますが、簡単で低コストの措置は、二重管を使用することです。有害物質を流す配管等は、漏れた場合に目視で確認できることが必要です。

配管等には、有害物質が流れる配管本体、継手類、フランジ類、バルブ類、ポンプ設備を含みます。二重管を使用した場合、外管を透明にすれば、目視で漏れが分かります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です