ジュラルミンとは
ジュラルミンとは、高力アルミニウム合金の一種です。
アルミニウムに対して4%の銅と少量のマグネシウム、マンガンを加えた組成が標準組成です。540℃程に加熱した後に、水の中で急冷してから常温の状態で96時間程放置することで、徐々に硬く変化し軟鋼に匹敵する強度となります。ジュラルミンは鋼と同等の強度でありながら密度が鋼の3分の1程度であるため、実用性が極めて高い合金です。
航空機の発達に伴って改良が重ねられており、さらに高力の超ジュラルミンや超々ジュラルミンなども実用化されています。
ジュラルミンの使用用途
ジュラルミンの比重は鉄の約3分の1であり、同一重量当りの強さは鉄材の3倍となります。そのため、この値の大きいことを要求する航空機用材に最適で、飛行機の機体用の構造材として長く使用されています。また、優れた特性から自動車の構造材や建築、その他の強力構造材などにも利用されています。
ねじ類・航空宇宙機器・ギヤ部品・リベット類・油圧部品・船舶用部品などの工業用途としても用いられている他、身近な製品では、スキーや金属バットなどのスポーツ用品にも幅広く利用されています。
ジュラルミンの性質
ジュラルミンは、他のアルミニウム合金と比べて優れた切削加工性がありますが、溶融溶接性や耐食性が比較的弱いといった特徴もあります。そのため、腐食環境にて使用する部品や製品にジュラルミンを利用する場合には十分な防食処理が必要です。
この欠点は、硬度を高めるために添加された銅による耐食性の低下が原因です。防食処理の手段の例としては、ステンレス等の耐食性に優れた材質で挟み込んで利用するなどの方法が挙げられます。
ジュラルミンの種類
ジュラルミンには、通常のジュラルミンの他に、超ジュラルミンと超々ジュラルミンが存在しています。
1. 超ジュラルミン
超ジュラルミンは、銅とマグネシウムの添加量が通常のジュラルミンと異なります。銅とマグネシウムの添加量を増加させることによって、ジュラルミンよりも高い強度と切削加工性を持ち合わせるようになります。
2. 超々ジュラルミン
超々ジュラルミンは、ジュラルミンと比べて遥かに高い強度をもっています。超々ジュラルミンは、銅とマグネシウムに、さらに亜鉛を加えた合金です。超々ジュラルミンの強度は、ステンレス鋼にわずかに劣る程度であり、アルミ合金の中では最高クラスの強さをもっています。
切削性については、ジュラルミンと超ジュラルミンは良好で切削加工をしやすい部類になりますが、超々ジュラルミンは強度が高いため切削しにくい難削材の部類になります。
ジュラルミンのその他情報
1. ジュラルミンの強度
ジュラルミンはアルミニウムの引張強さである260N/mm2を大幅に上回る425N/mm2の強度があります。鋼材のひとつであるSS400が400N/mm2であるため、アルミニウム合金でありながら鋼材並みの引張強さを持つ材料といえます。また、比重は鉄の7.87を大幅に下回る2.79であるため、鋼材と同程度の強度を持ちながら約3倍ほど軽いメリットがあります。
2. ジュラルミンの欠点
ジュラルミンの欠点として、溶接性が低いことが挙げられます。アルミニウムと同様に熱伝導率が高く、鉄と比較すると歪みが生じやすいため溶接時間を短くしなければなりません。融点も低いため母材が溶け落ちやすいことから、ジュラルミンは溶接加工が非常に難しい材料です。そのため溶接には通常の溶接よりも温度が低い抵抗スポット溶接機を用いるといった対策がとられたり、そもそも接合には溶接ではなくリベットやボルトで接合する例もあります。
また、アルミニウム合金の中でも特にジュラルミンは耐食性が悪く、金属の結晶と結晶の間が腐食する粒界腐食が起こりやすいため腐食が進行すると割れが生じやすくなるデメリットがあります。