空洞調査サービスとは
空洞調査サービスとは、レーダー探査機などを用いて、地中の空洞やトンネル覆工背面の空洞、コンクリート内部の変状 (空洞、ジャンカ) などを調査するサービスです。
路面下空洞調査では、効率よく広範囲の調査を行うため、レーダーを搭載した道路調査車などを使用して一次調査を行い、空洞の可能性のある箇所を抽出します。二次調査では、一次調査により抽出した箇所の周辺についてカート型の小型レーダー探査機で詳細調査を行い、空洞の可能性が高い箇所ではボーリング調査により空洞を確認します。
その他、埋設管や埋設物の調査の他、遺跡や防空壕などの探査も可能です。
空洞調査サービスの使用用途
1. 使用目的
空洞調査サービスは、路面下の空洞を検出することで空洞による陥没事故を防止したり、トンネル背面空洞などに起因する突発的崩壊を防止、土地売買の際に地中埋設物を調査したりする目的などで使用されています。
下水管や雨水管など地下に埋められた管路の老朽化は、地中への漏出を引き起こし、周辺の地盤に空洞を発生させます。こうした空洞は、路面の陥没事故の原因となるため、適切な調査が必要です。
また、工事などを計画する際に電気管や水道管、ガス管などの埋設管の位置を予め把握することで、配管損傷事故を防ぐことも可能です。
2. 検出可能なものの例
基本的に地盤と誘電率の差があるものなら探査・検出が可能です。主な検出物には下記のようなものがあります。
- 路面下空洞
- トンネルの覆工背面空洞、覆工コンクリート内部の変状 (空洞、ジャンカ)
- コンクリート構造物内部の変状 (空洞、ジャンカ)
- 地中埋設管類 (上下水道管・ガス管、電力・信号ケーブル)
- 遺跡・遺構、防空壕
- 産業廃棄物などの地下埋設物
- 地層構造
空洞調査サービスの原理
1. レーダー探査
空洞調査サービスは、主にレーダー探査が使用されています。レーダー探査は、地中や構造物に向けて電磁波を送信し、電磁波の反射を分析して埋設物の種類や位置を特定する探査方法です。
電磁波の速度はその媒体固有の比誘電率に影響されます。比誘電率から電磁波の速度を求め、反射時間を計算することで埋設物の深さを算出することが可能です。
地中等に送信する電波の照射方向を制御することはできないため、レーダー装置は移動させながら計測します。例えば、車道の路面下であれば道路調査車が使用されます。道路調査車は中レーダが搭載され交通規制なしで調査が可能です。
手押し式の地中探査機や、削孔してスコープを挿入するスコープ調査などと組み合わせて調査を行います。
2. その他
レーダー探査以外の地中探査の方法には、ボーリング調査や弾性波探査、電気探査、表面波探査などがあります。
ボーリング調査は、ボーリング孔を利用した空洞調査・孔内観察を行う目的で実施します。空洞の規模・拡がりを調べたり、充填状況を確認したりする場合は、ロータリーバイブロ式ボーリングマシンを使用することが多いです。
空洞調査サービスの種類
空洞調査サービスは、様々な企業より提供されています。提供企業によって、得意としている分野が異なる場合もあるため、目的に合わせて適切なサービスを選定することが必要です。
例えば、路面下空洞調査に特化しているサービスでは、道路調査に特化したレーダー車両を保有しています。また、電磁波レーダーに加えてレーザーなどによる路面性状調査を組み合わせた複合探査車が用いられる場合もあります。
トンネルの空洞調査では、レーダー搭載の空洞検査車と覆工表面の撮影車を組み合わせたサービスで、覆工背面空洞や内部の空洞と表面のひび状況の統合管理を行い、緊急度の高い箇所の特定などに役立つデータを提供しています。
AIとの技術融合を行っているサービスでは、自動的に空洞を抽出したり、路面画像からひび割れを描画したりすることが可能です。
家屋やビル建設などの地質調査を得意としているサービスでは、測量・補強工事・住民説明などにも対応している場合があります。サービスによっては、一般的な地中レーダー探査の他に湾岸・護岸・漁港空同調査も可能です。
その他、特殊な調査に対応した例では、防空壕位置調査、遺跡埋蔵文化財調査などがあります。