点光源

監修:株式会社ユーテクノロジー

点光源とは

点光源とは、発光部の面積が非常に微小な光源で、点に近い大きさの光源のことです。

点光源は、発光部の面積が非常に微小な光源で、光を全方向に均等に放射し、光の強度は距離の二乗に反比例して減少します。画像処理では欠陥検出や寸法測定で精度を向上させる光源として使用され、コンピュータ・グラフィックスではリアルなライティングやシャドウ生成に利用されます。物理学や光学の研究では光の基本的な挙動を理解するために使われ、カメラキャリブレーションや照明設計でも重要な役割を果たします。また、各種センサに使用した場合、精度や分解能を高めることが可能です。

点光源の使用用途

1. 外観検査

点光源は、非常に小さな領域から均一に光を放射する光源です。この光源は、対象物体に対して特定の位置から光を当てることで、物体の表面に影や反射を生成します。点光源の特徴は、光が一つの小さな点から発生するため、非常にシャープで明確な影を形成することです。

この点光源の特性を利用した外観検査では、物体からの反射光または透過光を撮影し、金属、プラスチック、ガラスなどの表面キズや仕上がりムラ、塗装ムラや、ガラス、プラスチック等の透明体内部に存在する気泡や異物混入などを画像処理装置または目視で検出します。

2. 点光源LEDチップ

点光源LEDチップは、光学式エンコーダや光電センサの分解能などを高める目的で使用されます。

LEDビーム光源は、一般にLEDとレンズを使用して形成されますが、一般的なLED (面発光LED) の場合、ビームサイズは大きく、すぐに広がる傾向にありますが、点光源はビームサイズは小さく広がりにくい性質です。また、面発光の場合、光の回折により対象物に生じる影がぼやけて、検知精度が低下することがありますが、点光源の場合は影の輪郭がはっきりとします。このため、光学式エンコーダなど、精密な測定を行うセンサーの光源には、発光部の径が小さい点光源の方が有利です。

3. 主な用途

その他、点光源の主な用途例は下記の通りです。

画像処理: 欠陥検出や寸法測定、品質管理において均一な光を照射し、精度の高い検査や分析を行います。

コンピュータ・グラフィックス: 3Dシーンでリアルなライティングやシャドウを生成するために使用されます。

物理学・光学: 光の伝播、反射、屈折などの基本的な光学的現象を研究するための理想化されたモデルとして使われます。

キャリブレーション: カメラやセンサーの性能をテストし、正確な補正を行うために用いられます。

照明設計: スポットライトや特殊な照明で、特定の場所や物体に焦点を当てた光を提供します。

光学式エンコーダ、光電センサ用:特定の範囲に強い光を集中的に放射する小型LEDチップを使用し、物体の検出や距離測定に用いられます。

点光源の原理

物理学的な点光源の定義とは、位置だけが定まり大きさを持たない光源です。実際には、通常の光源より発光径が非常に小さい光源を点光源と呼びます。

点光源として用いられるランプは、キセノンランプや水銀灯、LEDなどがあります。一般的にはキセノンランプのほうがLEDよりも高輝度ですが、LED点光源の中にはキセノンランプの輝度に迫る高輝度製品もあります。

また、点光源LEDチップの場合、一般的なLEDではチップ全体が発光するのに対し、点光源LEDはチップ上の更に微小の発光窓の部分のみが発光します。

点光源の種類

点光源には様々な製品があります。

点光源装置として提供されている製品には、用途を限定しない一般照明のほか、外観検査用照明などがあり、光源には、LEDや水銀灯、キセノンランプなどが用いられます。特に、キセノンショートアークランプは紫外域から赤外域まで幅広い発光領域を持ち、高輝度、高演色性を特徴とし、瞬時再点灯が可能です。

また、光学式エンコーダ、光電センサ用の点光源LED製品には、点光源LED素子や、LED素子を埋め込んだ表面実装部品やCANなどのパッケージ品などがあります。提供波長は、赤色 (650nm) 、赤外線 (820nm、850nm、860nm、870nm) などです。点光源チップの中には、側面洩光対策を施したものもあります。発光窓の寸法は、φ60μmからφ160μmほどです。

一部の高温対応製品では、105℃まで動作保証されており、光学式エンコーダに搭載される点光源LEDにおける高温動作での光出力低下や短寿命の課題を解決します。産業用ロボットなどのACサーボモータに搭載される光学式エンコーダやリニアゲージにおける、高温対応や高負荷対応の需要に対応可能です。

本記事は点光源を製造・販売する株式会社ユーテクノロジー様に監修を頂きました。

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