無収縮モルタル

無収縮モルタルとは

無収縮モルタルとは、建物の壁面や骨格の一部として用いられる材料であり、モルタルと呼ばれる材料の1種です。

モルタルとは、セメント、砂、水などを混ぜ合わせ、固まることによって使われる材料です。一般的にモルタルには固まると収縮する性質がありますが、固化しても収縮しないモルタルを無収縮モルタルと呼びます。

水を含んだモルタルが固化する際に大きく収縮すると、ひび割れの発生につながりかねません。無収縮モルタルは固化する際の収縮を抑えることによって、モルタルにひび割れが生じるのを防いでいます。

無収縮モルタルの使用用途

無収縮モルタルの使用用途は、大きく3つあります。

1. 鉄骨柱ベースと基礎との接合

鉄骨造の建物の土台は、鉄筋コンクリートなど基礎と固定しなければなりません。鉄骨の柱脚部のベースプレートと基礎とはアンカーボルトで固定しますが、、鉄骨と基礎との結合を強化するために、接合部に無収縮モルタルが注入されます。

2. 耐震補強

無収縮モルタルは、コンクリート造の建物の耐震補強工事に用いられます。鉄骨柱と基礎との接合と同様に、コンクリートと補強材となる鉄骨ブレースと呼ばれる補強材などとを固定するアンカー部分に、無収縮モルタルが使われます。補強材を強く固定することによって、建物の耐震強度を高めることが可能です。

3.コンクリート構造物の補修

無収縮モルタルはコンクリート造の構造物の補修として、劣化によって生じたひび割れ部分などに充填して使います。例えば、地下水源の過剰採取弱下した地面の「地盤改良」、老朽化したRC建造物の「コンクリート壁面のひび割れ補強」「岩盤剥離防止」「充填補強」などです。

無収縮モルタルの原理

無収縮モルタルが収縮しない性質を発揮する原理は、膨張剤が配合されているためです。無収縮モルタルには石灰系膨張剤などを配合し、わずかな膨張性を持たせています。

収縮する性質のあるモルタルに膨張する性質のある材料を加えることによって、材料全体としては無収縮、またはわずかな膨張性を発揮します。

無収縮モルタルの種類

無収縮モルタルには「グラウト」と「パッド」の2つの種類があります。両者は施工方法によって選ばれます。

1. グラウド型

グラウトは型などに流し込み、ある空間に充填して使う液体材料です。グラウトには高い流動性があるので、隙間などにも充填しやすく、構造物の補強に適しています。

2. パッド型

パッドは一般的なモルタルと同様に、コテで塗り広げて使います。グラウトよりも流動性は少なく、垂直に立った壁面などにも塗り広げられるのが特徴です。

無収縮モルタルのその他情報

無収縮モルタルの工法

無収縮モルタルは「無収縮」と呼ばれていますが、全く膨張しないわけではありません。基本特性は水密性が高く無収縮ではありますが、わずかな膨張が用途により最大限の効果を生み出す場合もあります。無収縮モルタルの膨張性を利用した工法の1つがCFT工法です。ハイブリット高層建築であるCFT工法において、無収縮モルタルは鋼管の充填基材として使用されます。

CFT工法の原理は、グラウド型モルタルの外に向かう膨張力と、鋼管の拘束力の相互拘束 (コンファインド効果) を利用したものです。鉄骨充填工法より安価で、その上で強度も比較的高いことが近年注目されています。しかし、無収縮モルタルの性質はコンクリートと同様、中性化によって強度が低下します。

コンクリートの中性化とは、本来強アルカリ性をもつコンクリートが大気中の二酸化炭素がコンクリート内部に侵入することによって中性に近づく現象のことです。この現象は、内部の鉄筋の腐食につながります。また、施工の際には機械練りが必須であるため、機材の調達が不可欠であり、強度や耐久性はあくまでも気密性が高い場合のみに限られます。

参考文献
http://www.matsushima.or.jp/charm/history.html
https://www.hmv.co.jp/
https://wordpressbrog.11ohaka.com/archives/5995

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