カーボンパイプ

カーボンパイプとは

カーボンパイプ

カーボンパイプは、カーボン(元素記号:C)を活用した筒状のパイプです。このパイプは、材料にカーボンを使用しているため、カーボンの特性を有しています。

カーボンは、主に導電性や耐熱性、耐摩耗性、熱伸縮性、耐酸性を持ち合わせており、比重が小さく、強度が高いです。

カーボンから構成されている素材には、例えばグラファイトやカーボンファイバー、CFRPなどがあります。それぞれの特徴は、以下の通りです。

  • グラファイト

    グラファイトは、黒鉛とも呼ばれており、天然の黒鉛と人工的に生成する黒鉛があります。黒鉛の特徴としては、耐熱性があり、温度変化に強く、耐薬品性にも優れています。また、加工が容易で導電性があり、潤滑性も有しているため、摩耗などにも耐性があります。

    グラファイトを使用した製品には、主に鉛筆やカメラ、ヒーター、調理器、布団、モーターなどが挙げられます。

  • カーボンファイバー

    カーボンファイバーは、アクリル繊維を加熱し、炭化させたものです。カーボンファイバーを織り込むことで、布状に成形したものをカーボンクロスと呼び、クロスに樹脂を染み込ませて成形したものを炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と呼びます。

    カーボンファイバーは、カーボンがもとになっているため、耐熱性や導電性、対薬品性、低熱膨張率、潤滑性などのカーボン特性を有しています。

    また、この材料は、主に複合材として活用され、自動車のシャーシやコンポーネント、ロケット、ドローン、支柱、建築材などに使用されています。

  • CFRP

    CFRPは、炭素繊維強化プラスチックと呼ばれ、FRPの一種です。素材を各種組み合わせており、複合材料として活用されます。母材に樹脂を使用し、繊維を加えることで軽量さを有しながら繊維の強さも兼ね備えています。

    CFRPは、主に航空機の翼やロケットのフェアリング、人工衛星のアンテナ、自動車、バイクなどに使用されています。

カーボンパイプの使用用途

カーボンパイプは、複合材料のさまざまな特性を活かして多くの分野で利用されています。

例えばFRPパイプは、サビに強いため、ウィンドサーフィン用のマストやスキー用のスティックとして使用することができます。

そのほかにもCFRPを複合材として使用したカーボンパイプでは、航空宇宙分野において、電波望遠鏡のアンテナやトラスなどに使用されています。

そして、自動車や車両分野では、レーシングカーやボディ骨格、鉄道車体に、スポーツ分野では、釣竿やゴルフシャフト、ラケット、野球バットなどに使用されています。

また、建築土木分野では、コンクリートの補強やロッドに、医療や介護分野では、車いすや杖、人工骨に活用されています。

カーボンパイプの原理

カーボンパイプには、FRPやCFRPなどの材料がよく使用されていますが、これらは異種素材と組み合わせることにより、コンポジット化が簡単に行えます。

コンポジットとは、複合材料を表し、2種類以上の素材を合わせることで、製品の高性能化を図る方法を指します。

組み合わせることが可能な異種材料には、CF(カーボン)やGF(ガラス)、AF(アラミド)などがあり、そのほかには、綿糸またはビニロン繊維、植物繊維、ボロン繊維、パルプなどがあります。

カーボンパイプの強度は、組み合わせる異種材料によって、その強度や特性が変化します。カーボンは、元来、耐候性や耐蝕性、難燃性、耐熱性、電気的な特性を有していますが、求める性能に合わせて異種材料を組み合わせることにより、製品性能の向上を図ることができます。

パイプへの異種材料の組み合わせは、例として内層にFRPなどを成形し、外層に天然素材を成形する方法などがあります。そのほかにも内層に金属パイプを成形し、外層にFRPや熱可塑性プラスチック、金属パイプを成形する方法があります。

カーボンパイプの種類

カーボンパイプは、しなやかで腐食しないため、とても利便性が高い製品です。そのほかにもさまざまなカーボンの特性を有しています。また、カーボンは、複合材としてよく利用されており、例えば下記のような製品が挙げられます。

  • 繊維強化プラスチックパイプ:Fiberglass Reinforced Plastics(FRP)

    FRPパイプは、とても軽量で変形がしにくく、ガラス繊維を織り混ぜてあるため、強度が汎用プラスチックよりも高くなっています。また、高い剛性もさることながら、耐候性にも優れています。

  • ガラス繊維強化プラスチックパイプ:Glass Fiber Reinforced Plastics(GFRP)

    GFRPパイプは、ガラス繊維を樹脂で固めた製品で、FRP関連の製品のなかでは価格が最も低いです。用いられる樹脂には、ポリエステルやビニルエステル、フェノール、エポキシなどが挙げられます。

  • カーボン繊維強化プラスチックパイプ:Carbon Fiber Reinforced Plastics(CFRP)

    CFRPパイプは、鉄などの金属に比べて軽量なのに同程度の強度と剛性を持ち合わせています。このパイプは、重量を軽減したいけれど、強度も保ちたい場合に選ばれます。また、カーボン特性も有していることから振動を抑えることも可能な製品です。

  • アラミド繊維強化プラスチックパイプ:Aramid Fiber Reinforced Plastics(AFRP)

    AFRPパイプは、主にアラミド繊維を補強材として活用しています。アラミド繊維は、高強度なうえに耐摩耗性と耐傷性にも優れています。また、衝撃を吸収する特性にも優れているため、過酷な環境でも選択しやすい製品です。ただし、アラミド繊維は、成形性が悪いといった特徴もあるため、複雑な形状には向いていません。

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