CFRPパイプ

CFRPパイプとは

CFRPパイプ

CFRPパイプは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を活用した筒状のパイプです。CFRPは、Fiber Reinforced Plasticsの略称です。樹脂を炭素繊維で強化しており、比強度や非弾性率が高いです。

そのため、炭素繊維強化プラスチックは、宇宙開発や航空機部品などに使用されています。

強化プラスチックには、このほかにもFRP(繊維強化プラスチック)やGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)がありますが、炭素繊維の配合や含有率によって物性が異なります。

  • FRP

    FRPは、弾性率が低いプラスチックに弾性率が高いガラス繊維を加えることにより、強度を高めた複合材料です。

  • GFRP

    GFRPは、ガラス繊維をビニルエステルやエポキシなどの樹脂を用いて固めた複合材料です。ほかの強化プラスチックに比べて安価に販売されています。

CFRPパイプの使用用途

CFRPパイプは、アンテナやフェンス、支柱、シャフト、釣竿、義足用のパイプなどに利用されています。

CFRPは、一般的に熱膨張率が3ppm以下で熱膨張率が低いです。

そのため、天体望遠鏡や検査用ジグフレームとして利用されています。

そして、振動減衰性に優れており、鉄の約5倍の比剛性を有しています。このメリットを取り入れた製品として、液晶パネルの搬送ハンドやパラレルリンクロボットなどがあります。

また、高熱伝導率が2〜300W・m/℃と幅広いため、人工衛星の電池ケースにも使用されています。

さらに、非磁性や耐蝕性、導電性などを有しており、リニアモーターケースや耐震補強材、工業タンク、静電気対策部品などとして活用されています。

CFRPパイプの原理

CFRPパイプの製造方法には、大別して「フィラメントワインディング法:Filament Winding(FW)」と「シートワインディング法:Sheet Winding(SW)」があります。

  • FWとは

    FWは、ロービング(炭素繊維の束)を液状の樹脂に含浸させながら回転するマンドレル(金型)に巻き付けて、硬化後に脱型する方法です。

  • SWとは

    SWは、マンドレルにプリプレグ(樹脂で含浸した炭素繊維のシート)を巻き付け、さらに熱収縮テープを巻き付けた後にオーブンなどで加熱と硬化を行う方法です。

    CFRPは、一般的にFRPのような標準品性能や機能というものがありません。

    したがって、CFRPの素材には、標準品が存在せず、炭素繊維の性能や機能を活用して、素材を設計および製作に合わせて使用します。

    このことからCFRPは、金属やプラスチックとは異なり、製品を製造する際には材料設計が不可欠となります。

    また、CFRPは、主にミラー対称積層が基本の積層方法として使用されています。この方法で積層を行うことにより、硬化後の冷却で熱による歪みが生じません。

    CFRPパイプは、パイプ断面の中心を基準に高さや幅方向のそれぞれで対象とします。

CFRPの種類

CFRPは、炭素繊維を樹脂で成形した製品ですが、母材となる樹脂によって熱硬化性CFRP(CFRTS)と熱可塑性CFRP(CFRTP)の2種類に分けられます。

  • 熱硬化性CFRP

    熱硬化性CFRPは、エポキシ樹脂を含浸した炭素繊維のシート(プリプレグ)を必要な大きさに加工し、加熱することで硬化させ、密閉した金型に炭素繊維を置き、エポキシ樹脂を流し込むことで成形します。この方法をRTM(Resin Transfer Molding)成形と呼びます。

  • 熱可塑性CFRP

    熱可塑性CFRPは、母材にポリプロピレンなどが用いられており、プリプレグを加熱し、軟化させ、プレス加工によって成形します。また、そのほかの方法として射出成形による方法が選択される場合もあります。

    大量生産を行う場合には、短時間での成形が必要となるため、熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの両方で技術の開発が進められています。

    また、CFRPの母材には、前述した以外にも多くの種類が検討されています。

    例えば熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂(PMMA)や6ナイロン(PA6)、ポリアミド(PA66)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などがあり、熱硬化性樹脂には、エポキシ樹脂(EP)などが使用されています。

CFRPの特徴

CFRPは、多くの特性を有しています。例えば耐薬品性や耐疲労性、耐摩耗性、耐熱性に優れており、比弾性率と比強度も高いです。そして、CFRPは、とても軽量な素材です。

いくつかの素材を比較すると、汎用プラスチックでは、比重が約1.0グラム毎立方センチメートルで、アルミニウムが約2.8グラム毎立方センチメートル、チタンが約4.5グラム毎立方センチメートル、鉄が約7.8グラム毎立方センチメートルです。

一方で、CFRPは、約1.8グラム毎立方センチメートルです。おおよそ汎用プラスチックとアルミニウムの中間の位置に区分されます。

そのため、これらの特徴を活かして宇宙開発や航空機分野だけではなく、スポーツや輸送機器関連でも活用されています。

また、CFRPは、X線の透過率が高いといった特性も持ち合わせているため、従来、使用されていたアルミニウムに変わり、レントゲン設備などにも使用されています。

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