油圧プレス機

油圧プレス機とは油圧プレス機

油圧プレス機とは、作動油と油圧ポンプで機構を動かし、プレス金型を用いて加工したい素材を所定の形状にする装置です。

機械装置のベット上側と下側にプレス金型を設置して、下型の上に素材を置いた状態で作動油圧により上ベッドを降下させると、素材が上下の金型で挟みこまれて所定の形状になります。

油圧プレス機の使用用途

油圧プレス機は加圧力別で大小さまざまな機械装置が存在します。1,000トン級の油圧プレス機は自動車産業で使われることが多く、乗用車、トラックバスなどの外板やシャーシフレーム加工で活用されています。またダイカスト品、鍛造品、CFRP素材で作られる発電用タービンなど成形加工力や成形時間が必要な大型製品用途でプレス加工が活用されています。

流し台シンクやステンレス容器等の深絞り形状において、リンク駆動によるメカプレス機では絞りじわや割れが発生し品質不良となることがあります。それに対し油圧プレス機では加工速度を調整することが可能なため、深絞り形状の品質問題を改善することができます。

油圧プレス機の原理

油圧とは流体を使用してエネルギーを伝達するシステムで、パスカルの原理が基本です。油圧プレス機は電気モーターで油圧ポンプを動作させることで作動油圧が発生します。その加圧された作動油が油圧シリンダへ送られることで、ベット上側が機械で設定された範囲内で上下に動作します。

比較的大きいトルクを得るために、エンジンや電動機器は適切な変速機を組み合わせる必要があります。それに対し油圧機器の場合はシリンダへ送る作動油の供給量を変えて機械制御をするため、変速機が不要となります。

油圧プレス機のその他情報

1. 油圧プレス機の特徴

加圧力の比較
シリンダーは、油圧ポンプから吐出された作動油圧力と流量調整弁により上下運動します。小さな動力で大きな出力が得られるため、最大加圧力は機械式プレス機で80,000kNに対し、油圧式プレス機は200,000kNとなります。機械式プレス機で用いられる駆動モータと比較すると、油圧プレス機で使う駆動モータは質量あたりの出力が10倍程度大きいため、油圧式機械は装置が軽く小さくなるメリットがあります。

機械の比較
油圧プレス機は機械式プレス機より動作ストロークが長く、高圧縮力を発生させたり速度調整が可能で油圧装置の仕組みであるリリーフ弁によって過負荷が起こりにくく扱いやすい半面、メンテナンスに手間が掛かり加工時間も遅いです。

生産時の比較
一般的に大量生産時は機械式プレスが用いられます。機械式プレス機は作動油や油圧動作ポンプが不要で気温の影響を受けず静穏性があり、油圧ユニット設置が不要で、加工速度が速い利点を持っています。特にせん断加工曲げ加工絞り加工、打抜き加工においては加工時間が短くて済むため大量生産に向いています。

2. 油圧プレス機の注意点

油圧プレス機は非常に大きな圧力が発生する機械のため、事故が起きると大けがや死亡する事例が散見されます。日常メンテナンスや安全衛生教育が欠かせません。作動油の漏れや汚染等で機械管理が不十分ですと動作不良に繋がり、停止している機械が突然動き出すこともあります。事業者や管理責任者は、作業終了時にプレス機のベット上下に安全バーを挟むなどの安全衛生教育を現場作業員へ徹底して行う必要があります。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/plasticity/press.jsp
http://www.nikkin.or.jp
https://j-fma.or.jp/newsletter_information/hydraulic-press-textbooks
https://j-fma.or.jp/images/2019/05/yuatsu_zukan.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です