監修:有限会社マイクロステップ
5相ステッピングモータードライバーとは
5相ステッピングモータードライバーとは、相数が5相のステッピングモーターを制御するための駆動装置です。
ステッピングモーターはパルス信号を入力することで一定の角度だけ回転するモーターです。精密な位置制御が可能であり、ロボットアームや加工機械などの高度な機器に応用されます。このモーターを制御する駆動装置がステッピングモータードライバーです。
ステッピングモーターには相数が存在します。相数とはステッピングモーター内部に構成される巻線の数であり、一般的には2~5相の製品が販売されています。相数が5相の製品は1パルスで回転する角度が最も狭いため、ステッピングモーターの中でも最も精密に位置制御が可能です。
5相ステッピングモータードライバーは5相のモーターを制御する駆動装置です。したがって、精密制御を要する機器に使用することができる点が特徴です。
5相ステッピングモータードライバーの使用用途
5相ステッピングモータードライバーは様々な用途で使用されます。以下はその用途一例です。
1. 加工装置
CNC加工機などでは工作対象を削るために、機械軸に取り付けた工具を制御します。5相ステッピングモータードライバーによってこれらの各軸を精密に制御することができます。これにより、複雑な形状にカットしたり、細部まで精密に加工することが可能です。
2. 3Dプリンター
3Dプリンターではプリンターヘッドの位置や造形物の厚さなどを制御することが可能です。5相ステッピングモータードライバーは縦・横・奥行 (X、Y、Z) 軸の移動やエクストルーダーの操作を制御しするために使用されます。これにより、高精度で複雑な形状の物体を造形することができます。
3. ロボットアーム
ロボットアームは工業用組立ロボットやサービスロボットなど、様々な分野で利用される機器です。5相ステッピングモータードライバーはロボットアームの各関節を制御するために使用されます。正確な位置へ対象物を移動させたり、精密に作業を行うことが可能です。
4. 医療機器
医療機器にはMRIスキャナーや手術支援ロボットなどにおいて、精密な動作を要することが多いです。5相ステッピングモータードライバーはこれらの機器におけるアクチュエーターの動きを制御し、患者に安全かつ正確な治療を施す支援をします。
5相ステッピングモータードライバーの原理
5相ステッピングモータードライバーは、ステッピングモーターを制御するためにパルス信号を使用します。構造としては、パワー回路や制御回路、ユーザーインターフェイスなどで構成されます。
パワー回路はモーターに電力を供給するためのパワーアンプ回路であり、モーターへ共有する電流を制御することトルクや速度を調整します。制御回路はマイクロプロセッサや制御ICなどを使用して、ステップパルスを生成してパワーステージを制御します。また、外部からの制御信号や人的操作を受け取るために、入力端子やタッチパネルなどのインターフェースが存在します。
ステッピングモーターはコイルに電流を流すことで回転する装置です。制御信号によってパワー回路を制御することで、モーターコイルへ流す電流を管理します。制御信号はステップパルスと呼ばれる短いパルス信号として生成され、モーターを1ステップ分だけ回転させます。
一般的に5相のステッピングモーターの場合、回転角は0.72°です。したがって、1ステップで0.72°だけ回転します。
5相ステッピングモータードライバーの選び方
5相ステッピングモータードライバーは下記の要素を考慮して選定します。
1. 電源電圧
モータードライバーの電源電圧入力可能な電源電圧です。電源電圧が定格電圧よりも低い場合、モーターが正しく動作しない可能性があります。提供可能な電源の電圧と一致している必要があります。
2. 定格電流
定格電流は流すことができる電流を示す指標です。ステッピングモーターよりもドライバーの定格電流が高いまたは等しい必要があります。定格電流が低いドライバーを使用すると、モーターに十分な電力が供給されず、トルクやパフォーマンスが低下する可能性があります。
3. 適用モーター
モータードライバーは接続するステッピングモーターの仕様に合わせて選択する必要があります。一般的にはモーター製造メーカーがモータードライバーも指定していることが多いです。
本記事は5相ステッピングモータードライバーを製造・販売する有限会社マイクロステップ様に監修を頂きました。
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