監修:エアロセンス株式会社
測量ドローンとは
測量ドローンとは、地形などの地理的情報を測量するためのドローンです。
ドローンに搭載したカメラやレーザーなどのセンサーで取得した地形データとGPSなどで取得した位置情報を組み合わせて、専用のソフトウェアで解析処理することで、正確な地図や3Dモデルの作成が可能です。迅速かつ効率的なデータ収集が可能で、大規模な地域を短時間で測量することができます。
さらに、危険な場所や高所に登らずにデータを収集できるため、建設現場や災害地域での安全性が向上します。 人件費や設備費用も削減することが可能であり、特に大規模な測量ではコストを大幅に削減できます。
ただし、地域によってはドローンの飛行に関する法的規制が存在することがあります。適切なライセンスを取得し、法律に従って操作しなければなりません。プライバシーやデータ保護に関する規制も遵守する必要があります。
測量ドローンの使用用途
測量ドローンの主な使用用途は以下の通りです。
1. 建設土木工事
工事施工前の現状調査等で測量ドローンを使用することが多いです。土地の形状や設計との相違把握することで建設計画に必要な情報を収集します。また、施工の進捗管理や報告にも使用することができます。
2. 環境測量
森林の健康状態をモニタリングし、木々の成長率や枯れた領域を検出するためにも使用されます。森林資源の持続的な管理や森林火災の早期警告に有利です。また、野生動物の生息地を調査し、野生生物の保護活動に使用するデータも測定することが可能です。
3. 鉱業
鉱床の探査に使用される場合もあります。地表の観察だけでなく、地下構造のマッピングに使用されることも多いです。地形の変化や岩石の組成の違いを検出し、鉱床の位置と鉱物の種類を特定することが可能です。
4. 災害現場
自然災害が発生した際に、災害現場の確認に使用されます。洪水や地滑りまたは森林火災などの災害規模や影響を正確に評価することが可能です。これにより、緊急対応の計画を策定するのに役立ちます。
測量ドローンの原理
測量ドローンには写真測量ドローンとレーザー測量ドローンがあります。
写真測量ドローンはドローンに搭載されたカメラで上空から撮影した複数枚の写真データをGPSなどで取得した位置情報と組み合わせて解析処理することで正確な地理情報を収集することができます。
写真測量解析を行うには測量ドローンに加えて、上空からの目印となる対空標識や解析処理を行うための専用のソフトウェアが必要となります。対空標識には安価な印刷タイプのものとGPS内蔵の機器があります。専用のソフトウェアにはPCにインストールして使用するものとクラウド上で使用するものがあります。
レーザー測量ドローンはカメラセンサーの代わりにLiDAR (英: Light Detection and Ranging) が搭載されており、レーザービームを上空から発射して樹木などの植生の影響を排除した精度の高い地形データを収集します。
また、自身の位置を把握する際にはGPSシステムを利用することも多いです。これにより、飛行ルートの計画やデータへの位置情報付与が可能です。
これらを支える基幹技術として、ドローンのフライトコントロールシステムなどがあります。姿勢制御などがその一例で、姿勢を維持することで安定した飛行を実現します。ジャイロスコープと加速度計データを使用して、風などが吹いても安定性を保つことが可能です。
測量ドローンの選び方
測量ドローンを選ぶ際には、以下の選定要素に注意が必要です。
1. 測定精度
使用する目的の精度に合わせて測量ドローンを選びます。特に建設プロジェクトや土地測量では、高い精度が求められることも多いです。GPSなどで取得する機体の位置情報の精度が測量結果の精度に影響します。
2. センサー・カメラ
測量ドローンのセンサーやカメラは、データ収集の品質と効率に大きな影響を与えます。一般的にはRGBカメラによって視覚的データを収集し、地図や3Dモデルを生成することが多いです。カメラセンサーの解像度に加え、レンズの歪みの大小や振動を抑えるジンバル機構の性能が測量の精度に関係します。樹木などの植生に影響されずに地形データを作成したい場合にはLiDARセンサーを選択することで精度の高い地形データを生成することができます。
3. 飛行時間
一般的な測量ドローンの飛行時間は20分から30分程度です。測量範囲に合わせて適切な飛行時間の製品を選択します。
4. 耐久性
ドローンが砂塵や雨に対して保護等級を確認することが必要です。特に野外での使用時には重要な要因になります。また、対風性の高い機種は不安定な気象条件でも安定した飛行が可能です。
本記事は測量ドローンを製造・販売するエアロセンス株式会社様に監修を頂きました。
エアロセンス株式会社の会社概要はこちら