イソブチルアルデヒド

イソブチルアルデヒドとは

イソブチルアルデヒドの基本情報

図1. イソブチルアルデヒドの基本情報

イソブチルアルデヒド (Isobutyraldehyde) とは、分子式C4H8O、示性式(CH3)2CHCHOで表される有機化合物です。

アルデヒドに分類されます。IUPAC命名法による名称は2-メチルプロパナール  (2-methylpropanal) であり、CAS登録番号は78-84-2です。分子量72.11、融点-66℃、沸点65℃で、常温では不快臭のある無色の澄明な液体です。

水、エタノール及びアセトンに極めて溶けやすい性質を示します。密度は0.794g/mL、水への溶解度は11 g/100mLです。

イソブチルアルデヒドの使用用途

イソブチルアルデヒドから合成される物質

図2. イソブチルアルデヒドから合成される物質

イソブチルアルデヒドは、主に有機合成原料として用いられます。具体定には、ネオペンチルグリコール (NPG) やイソブタノールの原料です。

ネオペンチルグリコールは、熱や化学的な安定性から、アルキッド樹脂塗料・ポリエステル樹脂・粉体塗料など、広範囲に使われている物質です。イソブタノールは、塗料樹脂・アクリル酸イソブチル・酢酸イソブチル・メタクリル酸イソブチル・シンナー等の原料のほか、各種有機物によく溶解することから溶媒としても広く利用されています。

その他、イソブチリデンジウレア・DL-パントラクトン・テキサノール・ジイソプロピルケトンなどの合成原料でもあります。

イソブチルアルデヒドの性質

イソブチルアルデヒドは、イソブタンの誘導体で、ブチルアルデヒドの構造異性体にあたります。引火点は −17.5℃と低く、発火点は 196℃ です。引火性の高い液体や蒸気であると言えます。

また、加熱や燃焼により分解し、刺激性の煙やヒュームを生じる物質です。酸化剤、強還元剤、強塩基と反応するため、保管の際はこれらの物質との混触を避けて保管する必要があります。

また、イソブチルアルデヒドを還元するとイソブタノールを得ることが可能です。ネオペンチルグリコールは、イソブチルアルデヒドとホルムアルデヒドのアルドール反応によって合成されています。イソブチルアルデヒドの酸化反応では、メタクロレインやメタクリル酸が生成します。

イソブチルアルデヒドの種類

現在市販されているイソブチルアルデヒドは、主に研究開発用試薬製品や工業用化成品として提供されています。研究開発用製品には25 mL , 100mL , 500mL , 1Lなどの容量があります。冷蔵で保管が必要な試薬製品です。

工業用製品としては、溶剤原料や樹脂原料、合成原料などの用途で販売されています。工業用製品は、タンクローリーやドラム缶など、工場等での需要に合わせた大型容量での提供です。

イソブチルアルデヒドのその他情報

1. イソブチルアルデヒドの合成

イソブチルアルデヒドの合成法

図3. イソブチルアルデヒドの合成法

イソブチルアルデヒドは、プロピレンのヒドロホルミル化によって合成することが可能です。

2. イソブチルアルデヒドの法規制情報

イソブチルアルデヒドは、前述の通り引火性の高い液体や蒸気であることから、消防法で「危険物第四類・第一石油類・危険等級Ⅱ・水溶性」に指定されています。それ以外には、労働安全衛生法では「危険物・引火性の物」、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法) では「優先評価化学物質」、危険物の規制に関する規則 (危規則) では「引火性液体類」に指定されている物質です。

航空法や化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) 、大気汚染防止法でも各種規制を受けます。法令を遵守して正しく取り扱うことが必要な物質です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0394JGHEJP.pdf
https://www.m-chemical.co.jp/products/departments/mcc/c3/product/1200279_7118.html

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