ひずみセンサーとは
ひずみセンサーとは、被測定物のひずみを電気信号の変化として検出し、この電気信号の変化からひずみの量を測定する測定器です。
非常に高精度かつ早い応答の測定が可能なうえ、静的および動的いずれのひずみ測定にも対応しています。
ひずみセンサーの使用用途
ひずみセンサーは、自動車や鉄道、航空機の輸送機、ビルなど建造物の強度や安全性の確認に使用されています。また、臨床医学やリハビリテーション、人間工学などにも使用され、広範囲の分野での物理量計測に重宝されています。
さらに、ひずみセンサーを応用したセンサーとして、加速度センサーやロードセル、圧力センサー、変位センサーやトルクセンサーなどが挙げられます。
ひずみセンサーの原理
ひずみセンサーの一般的な構造は、薄い絶縁膜の上に薄い金属膜よりなるジグザク状の配線が形成された構造です。なお、金属膜よりなる配線はフォトエッチング加工により形成されており、ひずみセンサーは専用の接着剤で被測定物に貼り付けられています。
ひずみセンサーは、サンプル表面のひずみを電気信号として変換することで測定を実施しています。このセンサではサンプルのひずみに応じて電気回路全体の抵抗値が変わるため、抵抗の測定によってひずみを定量することができます。ひずみセンサーを被測定物に貼り付けた状態で被測定物がひずむと、ひずみセンサーのジグザク状の配線はひずみに合わせて伸縮します。
配線が伸びると配線の断面積が小さくなって電気抵抗値が上がり、配線が縮んで断面積が大きくなれば電気抵抗値が下がります。この電気抵抗値変化からひずみ量を測定し、定量化が可能です。このひずみセンサーの微小な抵抗値の変化の検出には、ホーイストンブリッジ回路が利用されています。
ホーイストンブリッジ回路では、ブリッジの入力側に電圧を印加し、出力側では被測定物のひずみにより変化した電圧を測定しています。この差分からひずみセンサーの配線の電気抵抗値の変化を検出し、そこから被測定物のひずみの定量化が可能です。なお、ひずみセンサーの配線は、金属箔よりなるものが主流ですが、半導体からなるものもあります。また、セラミックスの圧電効果を利用したひずみセンサーも存在します。
ひずみセンサーの種類
ひずみセンサーには、ジグザク状の配線を持つ素子が1個のみ配されている単軸のもののほか、2個以上配されている多軸のものがあります。多軸のものでは、2個の素子の一部が重なるように配されています。
ポアソン比の測定に適したものや、3個の素子の一部が重なるように配されて、応力解析に適したものなどさまざまです。また、複数の素子を並列に配したものは、応力集中部のひずみ解析などに好適です。
ひずみセンサーの選び方
被測定物に応じて、ひずみセンサーの種類やひずみ方向の配線部の長さ (ゲージ長) を選択するのはもちろんのこと、ひずみセンサーの線膨張係数を被測定物の線膨張係数に合わせるのが重要なポイントです。
ひずみセンサーのその他情報
1. 被測定物の表面処理
正確に測定するためには、被測定物のサビや塗料などを除去する必要があります。また、被測定物の表面をサンドペーパーなどで整え、ひずみセンサーを接着する面の脱脂をするのも重要です。
2. ひずみセンサーの貼り方
ひずみセンサーを使用して正確に測定するためには、まず被測定物の測定したい位置を正確に決めてマーキングします。その後、ひずみセンサーの裏側に指定の接着剤を付け、被測定物のマークとひずみセンサーのセンターマークを合わせて圧着します。
瞬間接着剤を使用した場合でも、十分な乾燥時間を確保するのが重要なポイントです。
3. ひずみセンサーの精度
ひずみセンサーでは、ジグザグ状の配線部分の電気抵抗値の変化を利用してひずみの量を測定していますが、抵抗値の誤差やひずみセンサーの配線特有の誤差による測定誤差が生じます。また、ひずみセンサーと電源をつなぐリード線の抵抗、試験環境の温度や湿度なども測定誤差の要因です。
そこで、特定のひずみセンサーとデータロガーの組み合わせを使用してこれらの誤差を自動的に修正する装置もあります。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime1966/16/6/16_6_465/_pdf/-char/ja