ニードルバルブとは
ニードルバルブ (英: Needle Valve) とは、ステム (バルブ軸) の先端が細くとがった針状のバルブです。
針の意味である 「ニードル (Needle)」がバルブの名前になっています。JIS B0100バルブ用語 (Glossary of terms for valves) では、ニードルバルブはニードル弁として、「流量を調節しやすいように弁体が針状をしているバルブ」と規定されています。
ニードルバルブは、流路の全開・全閉の止弁の役割はもちろん、流量を正確に調整できるのが特長です。しかし、一般的には比較的少ない流量の場合が対象になります。
ニードルバルブの使用用途
図1. ニードルバルブの使用例
ニードルバルブは、流量の調整に優れているため、正確な流量調整が必要な流量制御弁の用途で多く使用されています。そのため、全開状態で使用されることは少なく、そのほとんどがバルブの開度を調整して、必要な流量になった状態で固定して使用されます。
特に微小領域での流量制御や、流量制御の範囲が狭い時に使用される場合が多いです。通常のグローブバルブ (一部のボールバルブ) でも流量制御は可能ですが、あまり正確で微細な調整は困難で、一般的には精度を必要としない流量制御に使用します。
しかし、ニードルバルブは、内部構造を流量制御に特化した構造により、正確で微細な流量制御を可能です。例えば、半導体業界での窒素パージの量の調整、エアシリンダ弁やダイヤフラム弁の開閉用制御空気の流量調整、圧力計用の流体の止弁などに使用されています。
ニードルバルブの原理
図2. ニードルバルブの構造
ニードルバルブの構造は、ボディ (弁箱) 、ステム (弁軸) 、ハンドルなどで構成されています。上図は手動操作式のニードルバルブですが、電動アクチュエータ式や電磁式駆動の自動バルブもあります。
ニードルバルブの大きな特長は、その名の通り弁体が針状 (ニードル) であることです。似たような構造のグローブバルブは、弁体が非常に大きく、閉止には優れますが流量制御には向いていません。
ニードルバルブは、開弁操作でハンドルを回転させると、ステムの先端部の弁体 (ニードル) が上昇し弁座側との流路開口部が少しずつ変化します。そのため、流量が少しずつ変化するので、簡単にかつ正確に流量を調整することができます。
図3. ニードルバルブの開閉と流体の流れ
ニードルバルブは、遮断目的の止弁として使用可能です。ただし、完全に開閉するにはバルブステムを何回も回す必要があるので、ニードルバルブは単純な遮断用途には使用されません。
流体を完全に容易に遮断するために、グローブバルブやボールバルブなどの止弁を流路上流に設置し流体を遮断します。
ニードルバルブの種類
ニードルバルブは下記のような種類があります。
- 開閉方式
手動式、自動式 (電動アクチュエータ式や電磁式駆動) - 配管接続方式
ねじ込み式 (管用テーパねじ Rc、NPTなど) 、フランジ式、リングジョイント式など
自動式ニードルバルブは、遠隔操作で開閉および流量調整が必要な場合に使用されます。電動のアクチュエータなどを使用し、弁体とステムを回転させバルブの開閉を行います。
駆動用モーターにステッピングモーターを使用し、正確で微細なコントロールが可能なタイプもあります。ステッピングモーターとは、パルス信号によって回転角度を制御できるモーターを指し、高い位置決め精度を保証できるモーターの1種です。
ニードルバルブのその他情報
ニードルバルブの材質
ニードルバルブに使用されている代表的な材質 (ボディ部) は、下記のようなものがあります。
- 黄銅製 (JIS H3250 C3771Bなど)
- ステンレス鋼製 (JIS B3214 SUSF316, JIS G4305, G4303 SUS304, SUS316Lなど)
黄銅製は、汎用的な用途用の材質で、空気・冷温水・油などの低圧で高圧でなく低流量の場合に多く使用されています。ステンレス鋼製は、例として半導体業界でよく使用される、シランや三フッ化窒素などのガス配管に使用されています。
参考文献
https://www.swagelok.co.jp/ja-JP/product/Valves/Needle-Shutoff-and-Regulating
https://www.weblio.jp/
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/FKN_0003