チェックバルブ

チェックバルブとは

チェックバルブ(英語:Check Valve)は、配管内流体の流れを一方向のみに制御し、反対方向の流れを防止するバルブです。チェックバルブの同義語として、「チェック弁」「チャッキバルブ」「チャッキ弁」「逆止弁」が用いられています。

また英語のCheck Valveの同義語として、Non-return Valve, One-way Valve, Reflux Valve, Pressure Retention Valve, Back-Flow Prevention Valveなどがあります。逆流を防止する機能から「逆止弁」と表現され、Check ValveはCheck(阻止する)+Valve(弁)に由来しているそうです。

チェックバルブの使用用途

チェックバルブは、逆止弁と書かれるように、流体を逆流させたくない場合に使用します。基本的なチェックバルブの使用用途は下記になります。

  • 2つの流体の混合防止
  • 逆流の防止
  • 流れ方向の制御
  • ウォーターハンマーの防止

2つの流体が合流する箇所に設置する場合、相互の流体が混在するのを防止し、必ずどちらかの流体だけが流れるように制御します。

また、ポンプ吐出側の立ち上がり配管部分に設置する場合、ポンプ稼働中は流体が流れ、ポンプ停止後はチェックバルブが閉弁し、ポンプ下流の高いレベルにある配管内の流体が、ポンプへ逆流してくるのを防止します。

蒸気配管では、ウォーターハンマーの防止などにも使われます。ウォーターハンマーとは、流体流速の急激な変化により、一時的に配管内の圧力が上昇・下降する現象です。ウォーターハンマー現象の圧力変動により、ポンプや配管などが破損することがあり、防止対策としてチェックバルブが使用されます。

チェックバルブの原理

チェックバルブは、流体の入口側(一次側 P1)と出口側(二次側 P2)の圧力差により、ディスク(弁体)が作動し開閉します。圧力差とバルブの動作は下記のようになります。

  • 開弁: 入口側(一次側 P1)の圧力が出口側(二次側 P2)より高い P1 > P2
  • 閉弁: 入口側(一次側 P1)の圧力が出口側(二次側 P2)より低い P1 < P2

出口側(二次側 P2)の圧力が高い場合に、ディスクは背圧によってシート面に押し付けられ密着し、流体の逆流を防止することができます。この圧力差によってディスクは自動的に開閉し、流体は「流れる」、「流れない」の状態になります。

チェックバルブの種類

チェックバルブの種類は5つあります。それぞれの特長は下記の通りです。

1. スイングチェックバルブ

スイングチェックバルブ

図1. スイングチェックバルブ

スイングチェックバルブは、流体の流れが直線状で、アームやディスクに直接取り付けられヒンジ機構にディスクが取り付けられています。ディスクは、流体の圧力差によりヒンジを支点にして回転(スイング)し、開弁・閉弁を行います。

特長

  • 一般的に、フルポートでディスク全開時はディスクが流路を塞ぐことがなく、圧力損失は小さくなります。
  • フルポートとは、バルブボディの流路が配管の内径と同径、もしくはそれより大きいことを示します。
  • ディスク重量が重い場合は、開弁のための最低圧力差と、クラッキング圧力は大きくなります。重量の軽いディスクの場合は、開弁のための最低圧力差と、クラッキング圧力を小さくなります。
  • クラッキング圧力とは、ある一定流量が流れるための圧力差です。
  • ディスクは、ヒンジの軸で回転するため、長期間の使用や頻繁な動作により、軸と軸受け側は摩耗します。そのため、ディスクの開閉動作が悪くなったり、ディスクとシートのシール性が低下したりすることがあります。
  • ディスクは、全閉から全開までの回転角度は比較的大きいため、急激な圧力変化に対する応答性が低くなります。また重いディスクの場合は、急激な閉弁時には、シートへの衝撃が大きくなるという問題があります。

設置 配管が水平な場合、配管が垂直の場合は流体が下方から上方へ流れる場合に使用されます。上方から下方へ流れる場合は使用できません。

2. リフトチャッキバルブ

リフトチェックバルブ

図2. リフトチェックバルブ

リフトチェックバルブは、流体の流れがS字状で、軸が取り付けられたディスクが上昇・下降する機構です。ディスクは、圧力差で上昇・下降の動作を行い、開弁・閉弁を行います。

特長

  • 流路はS字状で、圧力損失は大きいです。
  • ディスク重量が重いため、開弁のための最低圧力差と、クラッキング圧力は大きくなります。

設置
配管が水平な場合のみの接地に限定されます。配管が垂直で流体が上下方向に流れる場合は使用できません。

3. ウエハーチェックバルブ

ウエハーチェックバルブ

図3. ウエハーチェックバルブ

ウエハーチェックバルブは、バルブ自体がウエハー形で、バルブボディをフランジで挟み込み、ボルト・ナット締め付け設置します。流体の流れはほぼ直線状で、ヒンジ機構を備えた2枚の半円形のディスクが内蔵されています。

2枚のディスクは、ヒンジを支点にして流体の圧力差により回転し開弁し、ディスクに付けられたコイルスプリングにより、反対方向に回転し閉弁を行います。

特長

  • 流路はほぼ直線上で、圧力損失は小さいです。
  • ウエハー形のためボディは薄型で、全体的に軽量です。
  • ポンプなどに直付けすることができます。
  • スプリングでディスクを強制的に回転させ、すぐに閉弁することができるため、ウォーターハンマー現象を軽減することができます。
  • 密閉性が高く高い封止性を有しています。
  • キャビテーションや流体の偏流に対しては対応性が多少低く、耐久性も低いことがあります。
  • バイパス流路が内蔵されているものもあり、残留流体の排出や呼び水用のバイパス配管敷設の必要がありません。

設置
配管の方向は、水平・垂直・傾斜などさまざま方向で使用が可能です。また配管が垂直の場合、流体が上下どちらの流れ方向も使用可能です。

4. ボールチェックバルブ

ボールチェックバルブ

図4. ボールチェックバルブ

ボールチェックバルブは、流体の流れがS字状で、弁体のボールが上昇・下降する機構です。ボールは、圧力差で上昇・下降の動作を行い、開弁・閉弁を行います。

特長

  • 流路はS字状もしくは直線状で、圧力損失はそれほど大きくありません。
  • ディスク動作は拘束されていないため、流体内の多少の異物混入は許容されます。
  • ウォーターハンマー防止には効果的ではありません。

設置
配管が水平用と垂直用があり、垂直用はボール自重での開閉になるため、流体が下方から上方へ流れる場合は使用できません。

5. スプリングディスクチェックバルブ

スプリングディスクチェックバルブ

図5. スプリングディスクチェックバルブ

スプリングディスクチェックバルブは、流体の流れはディスクを回り込みS字状で、軸が取り付けられたディスクが上昇・下降する機構です。ディスクは、圧力差で上昇し、スプリングの力で下降の動作を行い、開弁・閉弁を行います。

特長

  • 流路はS字状で、ディスクを回り込むように流れるため、圧力損失は大きいです。
  • ディスクは軽量で、開弁のための最低圧力差と、クラッキング圧力は小さくなります。
  • 全開と全閉の動作距離は小さく、応答性に優れています。

設置
配管の方向は、水平と垂直どちらの方向でも使用が可能です。また配管が垂直の場合、流体が上下どちらの流れ方向も使用可能です。

参考文献
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/other/1306check-valve-2/
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/other/1307check-valve-3/

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