ゴム硬度計とは
ゴム硬度計とは、その名の通りゴムの硬さを測定する装置のことです。
主に、デュロメータという計測器が使われています。この装置は、バネの力で針をサンプルに押し付け、サンプルを変形させた際に針が押し込まれた深さによって、ゴム硬度を測定します。
デュロメータには計測するゴムの硬度で、針の先端形状が異なるタイプA、タイプD、タイプEの3種類に分類できます。その他、押込み方式という手法もあり、デュロメータ同様にサンプルに対してバネの力で針を押し付けますが、押し付けた力とくぼみの面積から硬度を求める方法です。
ゴム硬度計の使用用途
ゴム硬度計は、ゴムの硬さを評価するために使用されています。具体的には、車のタイヤや消しゴムなどです。また、ゴム以外にもエラストマーやプラスチック製品の硬さを評価するためにも使用されています。
ゴム硬度計の原理
硬さ測定をする際に最も多く使用されているデュロメータは、バネの力でサンプルに針を押し付けて変形をさせます。この時、サンプルは押し付け力に対して反発力を生み出します。
両者の力が平衡となった時に、針がサンプルへどの程度押し込まれたか、その量から硬さの値を測定することが可能です。サンプルの反発力が弱い場合には柔らかく、反発力が強い場合には硬くなります。
ゴム硬度計のその情報
1. 硬さの表記方法
デュロメータに限らず硬さの測定結果は、重さのような物性値ではなく単位もありません。ある方法で試験をした時の結果なので、数値とともに試験方法を記載する必要があります。測定方法や結果の表記方法は規格で定められています。下記では、JIS K 6253-1997 加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法を例に説明します。
- A50/S: タイプAのデュロメータで1秒以内に測定して50 (ポイント) だった場合
- D50/15/S: タイプDのデュロメータで15秒後に50 (ポイント) だった場合
このようにデュロメータのタイプ、指示値、読み取りまでの時間を表記します。 (1秒以内の測定の場合は省略) その他の規格でも類似の表記方法を使います。それぞれ目的の試験方法に沿った表記方法を確認することが大切です。デュロメータを使う主な規格は以下の通りです。
- JIS K 6253-1997
加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法 - JIS K 7215-1986
プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法 - ASTM D2240-2005
ゴムの物性―デュロメータ硬さ標準試験方法 - ISO 48-4
ゴム―ポケット型による硬さ試験方法 - ISO 868-2003
プラスチック―デュロメータ試験方法
2. 測定時の注意事項
デュロメータを使う際は、以下の点に注意が必要です。
- サンプルのゴムが温度や湿度の影響を受けると正確に測定ができません。
- ゴム硬度計のサンプルへの押し当て方が不適切であったり、測定物表面に凸凹やそりがある場合は、正確な測定ができません。
- サンプルの同じ場所を繰り返し測定すると硬度が低くなるので、複数箇所測定する場合には別のポイントで測定してください。一般的には測定ポイントを6mm以上離すことが推奨されています。
- サンプルの厚みも測定に影響します。一般的にタイプAデュロメータでは、6mm以上の厚さが必要となります。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/71/3/71_3_161/_pdf
https://kikakurui.com/k6/K6253-3-2012-01.html
http://www.shimopa.co.jp/product/data/rubber.pdf
https://www.measuring.jp/pdfdoc/tan1003c.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/48/4/48_4_225/_pdf