エアフィルタとは
エアフィルタとは、空気中の微粒子をろ過する部品です。
空気中にはさまざまな物質がエアロゾルと呼ばれる微細粒子として存在します。これらの物質は産業製品の故障不具合や生産性の低下を招きます。また、肺に吸い込まれると健康に悪影響を及ぼす危険性もあります。
エアフィルタは、このような汚染物質を除去するための部品です。
エアフィルタの使用用途
エアフィルタは空気中の量子をろ過するために使用されます。具体的な使用用途は以下の通りです。
1. 自動車用エアフィルタ
自動車のエンジン内部に空気中のゴミなどを吸い込まないようにするために使用します。
2. 空調用エアフィルタ
空気中に潜む粒子を除去し、クリーンな空気を供給します。カビやウイルスの除去を行う製品も販売されています。
3. クリーンルーム
電子機器の組み付けなどを行うクリーンルームで、目に見えないホコリなどを除去するためのフィルタです。高性能エアフィルタが使用されます。
エアフィルタの原理
エアフィルタは、性能別にいくつかの種類に分類することができますが、種類によって原理は異なります。
1. 粗塵用エアフィルタ
対象粒径5μm以上を捕集するフィルタです。素材は化学繊維の不織布やガラス繊維が使用されます。構造はパネル状のものなどがあります。
2. 中性能用エアフィルタ
対象粒径1μm〜5μmを捕集するフィルタです。ガラス繊維などが素材です。プリーツ状や袋状のものがあります。
3. 準HEPA (High Efficiency Particulate Air) フィルタ
対象粒径0.3μmを90%〜95%以上捕集できる性能を有します。微細なガラス繊維などが素材です。
4. HEPA (High Efficiency Particulate Air) フィルタ
対象粒径0.3μmを99.97%以上捕集できる性能を有します。微細なガラス繊維などが素材です。
5. ULPA (Ultra Low Penetration Air) フィルター
対象粒径0.15μmを99.9995%以上捕集できる性能をもちます。微細なガラス繊維などを素材にします。
エアフィルタの性能
エアフィルタの性能を表す指標として、以下の3つがあります。
1. 圧力損失
フィルタに汚染された流体が通過するとき、汚染物質を取り除くため流体の流れに抵抗が生じます。このとき、フィルタをある風量で通過した空気圧の差が「圧力損失」です。
フィルタの入り口と出口の空気圧の差を測定することにより算出可能です。圧力の損失はエネルギーの損失にもなるため、出来る限り小さく抑える必要があります。
2. 効率
汚染物質の大きさによってフィルタのサイズを変更して除去します。例として、粒径の小さな汚染物質に対しては目の細かい金網を使用し、粒径の大きな汚染物に対しては目の荒い金網を使用します。このように汚染物によってフィルタのサイズや種類を使い分けることがフィルタの「効率」です。
3. 寿命
エアフィルタのろ材は空気のろ過量に応じて劣化します。捕集した粉塵が一定量蓄積すると目詰まりします。所定量の粉塵を捕集すれば圧力損失値は急増し、集塵性能は低下するため危険です。微細な汚染物をろ過する高性能なフィルタは、定期交換が必要です。これがフィルタの「寿命」です。
エアフィルタのその他情報
エアフィルタとミストセパレータの違い
エアフィルタには空気内の異物や水分・油分も除去する機能があります。それに対して、ミストセパレータは通常のフィルタよりも油分除去能力が優れています。
エアフィルタは電磁弁やシリンダへの異物混入防止のために、レギュレータの前段に設置することが必須です。それに対して、ミストセパレータはレギュレータの間または後ろに設置します。
エアフィルタは異物除去のため必須ですが、ミストセパレータは二次側の機器に応じて設置します。例えば、流量センサが設置される場合は、エアの油分が故障の原因となるためミストセパレータは必須です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/24/1/24_1_4/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/4/4/4_4_265/_pdf/-char/ja
https://www.kimoto-proeng.com/report/851
http://www.k-kyoshin.jp/14530179299773
http://www.kankyotec.toyobo.co.jp/business/le/hepa.html
https://www.shinohara-elec.co.jp/pdf/C/C-air.pdf
https://punjabisongspb.com/?p=285