システアミン

システアミンとは

システアミン (英: Cysteamine) とは、不快臭のある白色の水溶性固体です。

アミンとチオールの両方の官能基を含む有機化合物で、化学式はHSCH2CH2NH2、分子量は77.15、CAS登録番号は60-23-1で表されます。2-アミノエタンチオールとも呼ばれるアミノチオールであり、システインの分解生成物です。

通常は、塩酸塩 (化学式: HSCH2CH2NH3Cl、CAS登録番号156-57-0) の形で取り扱われます。塩酸塩の外観は、白色~薄褐色の結晶であり、光により変質する恐れがあります。

システアミンは、1950年代にシスチン症に対する治療効果に関する最初の証拠となる報告がなされ、1994年に米国でシスチン症の薬として最初に承認された有機化合物です。

システアミンの使用用途

システアミンの使用用途は、医薬品、放射線治療などです。

1. 医薬品

医薬品としては、シスチン症の治療薬として知られ、これは、システアミンがシスチンのジスルフィド結合に対して作用し、開裂させることができるためです。

2. 放射線治療

放射線治療の用途では、いわゆるラジカルスカベンジャーとして働き、放射線の間接作用によって生じるラジカルの除去に寄与します。

3. パーマ液・美白用化粧品

システアミンの身近な用途として、パーマ液や美白用化粧品が挙げられます。これも毛髪などのシスチン結合に対して、システアミンが還元剤として働くためです。システアミン系の還元剤は、比較的毛髪などへのダメージが少ないといわれていますが、アレルギー性接触皮膚炎を起こしやすい可能性が指摘されており、注意が必要です。

また、システアミンには、ハイドロキノンと同等以上の脱色効果があることが古くから知られていましたが、その化学構造上の特徴から、システアミンは強い還元力を持ち、空気に接触すると直ちに酸化してしまうため、外用剤を製剤化することが困難でした。しかし、システアミン分子を安定化させ、臭気も大幅に抑える技術を開発した結果、商品化に成功しています。

システアミンの性質

システアミンの融点は98℃、沸点は分解するため観測できません。また、システアミンは水への溶解性が高く、メタノールやエタノールに溶かすことができます。

システアミンは医薬品として、アミノ酸システインの酸化二量体であるシスチンの異常な蓄積を特徴とするリソソーム蓄積性疾患である、シスチン症を治療することが示されています。システアミンは徐放性カプセルなどの経口薬および点眼薬として入手可能で、病気を持つ人々の細胞に蓄積する過剰なシスチンを取り除くことができます。

また、生物学的機能として細胞へのL-システインの輸送を促進し、さらにグルタチオンの合成に使用可能です。グルタチオンは、最も強力な細胞内抗酸化物質のうちの1つで、様々な毒物・薬物・伝達物質等を細胞外に排出する性質もあます。

システアミンのその他情報

1. システアミンの製法

システアミンの製造方法としては、クロロエチルアミン塩酸塩とメルカプトチアゾリンを反応させて得られた2-(2-アミノエチルチオ)チアゾリン二塩酸塩を塩酸で加水分解する方法などが知られています。

2. 法規情報

システアミンは、労働安全衛生法、労働基準法、PRTR法、毒物および劇物取締法などの主要な国内の法規制において、いずれも非該当です。ただし、システアミンは、GHS分類において急性毒性に分類されていますので、取り扱いには注意が必要です。

3. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡、保護衣、保護面を着用する。
  • 粉塵を吸い込まないよう、充分注意する。吸入などして気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受ける。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/60-23-1.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です