シクロペンテン

シクロペンテンとは

シクロペンテンとは、化学式C5H8で表される有機化合物で、五員環構造を有するシクロアルケンです。

CAS登録番号は、142-29-0です。ガソリンに不純物として含まれている物質で、通常は1%以下の濃度を保っています。

シクロペンテンの使用用途

シクロペンテンの主な使用用途は、化学合成の原料です。特に、各種プラスチックやゴム材料の出発モノマーなどに用いられます。シクロペンテンは、ナフサ分解時に得られるC5留分から大量に得ることが可能な、入手性の高い物質です。

また、分子内に活性な二重結合を有することから、さまざまな用途での使用が研究開発されています。
シクロペンテンを原料として得られる具体的な物質には、シクロペンテンを開環メタセシス重合して得られるシクロペンテンゴムや、抗がん剤や抗ウイルス活性を持つ医薬品として知られるNeplanocin Aなどが知られています。

シクロペンテンゴムは強度、加工性、耐老化性、耐磨耗性の優れたゴムとして有用です。

シクロペンテンの性質

シクロペンテンの基本情報

図1. シクロペンテンの基本情報

シクロペンテンは、分子量68.11、融点-135℃、沸点44℃であり、常温での外観は、無色の液体です。刺激性のある穏やかな甘い臭いを有しています。

密度は0.744g/mL、エタノール、ジエチルエーテル、ベンゼン、四塩化炭素、石油エーテルに可溶です。引火点は-29℃、自然発火温度は395℃となっており、引火性及び可燃性の高い物質です。

シクロペンテンの種類

シクロペンテンは、主に研究開発用試薬製品や工業薬品などとして販売されている物質です。

1. 研究開発用試薬製品

シクロペンテンは、研究開発用試薬製品としては、25mL、100mL、500mLなどの容量の種類がある物質です。実験室で取り扱いやすい容量での提供が一般的です。通常、2-8℃などの冷蔵で保管されます。

2. 工業薬品

工業薬品としては、シクロペンテンは130kgドラムスチールなどの荷姿で販売されています。化学工業における、モノマーとしての用途が想定されている物質です。

シクロペンテンのその他情報

1. シクロペンテンの合成

シクロペンテンの合成

図2. シクロペンテンの合成

シクロペンテンの主な工業的合成方法は、ナフサなどの熱分解です。実験室的製法では、シクロペンタジエンを原料にした触媒的水素添加方法による合成が一般的と言えます。また、ビニルシクロプロパンの転位反応 (ビニルシクロプロパン-シクロペンテン転位) によっても合成が可能です。

2. シクロペンテンの化学反応

シクロペンテンのヒドロカルボキシル化反応

図3. シクロペンテンのヒドロカルボキシル化反応

シクロペンテンをチーグラー・ナッタ触媒 (Ziegler-Natta catalyst) を用いて重合させると、1,3-重合反応が起こることが知られています。また、パラジウム触媒を用いてシクロペンテンのヒドロカルボキシル化反応を行うと、シクロペンタンカルボン酸が生成します。

3. シクロペンテンの危険性

シクロペンテンは、前述の通り引火性の高い物質です。GHS分類では以下に指定されています。

  • 引火性液体: 区分2
  • 自己反応性化学品: タイプG

熱、火花、裸火、高温のもののような着火源からは遠ざけることが必要です。また、取り扱いに当たっては、保護手袋、保護眼鏡、保護面などの適切な個人用保護具を着用し、防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用するなど適切な環境を整えることも重要です。

火花を発生させない工具を使用したり、静電気放電に対する予防措置を講児たりする必要があります。保管に当たっては、換気の良い場所で保管し、涼しいところに置くことが求められます。

4. シクロペンテンの法規制情報

シクロペンテンは前述の危険性のため、法令によって規制を受ける化合物です。労働安全衛生法においては、危険物・引火性の物に指定されており、消防法において第4類第一石油類に指定されています。法令を遵守して正しく取り扱うことが必要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/142-29-0.html

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