硫酸クロム

硫酸クロムとは

硫酸クロム (英:chromium sulfate) とは、クロムと硫酸の化合物です。

主に、皮なめしや染色などの産業用途で使用される化学物質です。硫酸クロムはさまざまな形態で存在し、硫酸クロム無水物Cr2(SO4)3や硫酸クロム水和物Cr2(SO4)3·H2Oなどがあります。

硫酸クロムは、特定の産業用途において重要な化学物質ですが、その有毒性や腐食性に注意して取り扱う必要があります。また、使用や処分に際しては安全な方法を確保することが重要です。

硫酸クロムの使用用途

1. 硫酸クロム(Ⅱ)

硫酸クロム(Ⅱ)は、空気中で極めて酸化されやすい性質を有しており、分析試薬や還元剤として利用されています。 

2. 硫酸クロム(Ⅲ)

硫酸クロム(Ⅲ)は、染料の原料をはじめ、電解研磨剤、メッキ剤、皮なめし剤として利用されています。

3. クロムめっき

クロムめっきは、耐摩擦性、耐衝撃性、耐食性を有しており、かつ美しい光沢が特徴です。この特徴を活かし、工業製品から装飾まで幅広く活用されています。

また、うわぐすりの原料、防腐剤、金属アレルギー検査におけるパッチテスト試薬なども用途の1つです。

硫酸クロムの性質

硫酸クロムは紫色または赤色の固体です。水に対する溶解度は64g/100g水で、水溶液は酸性を示します。アルコールには溶けません。また、硫酸クロムは高温で安定であり、一般的な条件下では分解しにくいです。

なお、硫酸クロムはクロム(Ⅲ)イオンCr3+と硫酸イオンSO42-のイオン結晶です。水に溶けると、電離し、Cr3+とSO42-に分かれます。

1. 酸化剤

硫酸クロムは酸化剤としてはたらきます。酸化剤とは、他の物質を酸化する性質をもつ物質のことです。

2. 触媒

硫酸クロムは触媒としても使用されます。例えば、有機合成反応や酸化反応の触媒として利用されることがあります。化学反応の速度を促進する役割を果たします。

3. 反応

水分子と結合して水和物が生成されることがあります。また、硫酸クロムの一般的な反応としては、酸化還元反応が含まれます。例えば、アルコールを酸化してアルデヒドやケトンを生成する反応に利用されます。

4. 安全性

硫酸クロムは有毒であり、皮膚や目、呼吸器に対して害を及ぼす可能性が高いです。取り扱う際には、適切な安全措置を講じる必要があります。

また、硫酸クロムの取り扱いや処分には法律や規制が存在する場合もあるため、これに従うことが重要です。

硫酸クロムの種類

硫酸クロムは重金属無機化合物で、組成式がCrSO4の硫酸クロム(Ⅱ)およびCr2(SO4)3の硫酸クロム(Ⅲ)があります。硫酸クロムは、硫酸クロム(Ⅲ)のことを指すのが一般的です。

1. 硫酸クロム(Ⅱ)

硫酸クロム(Ⅱ)は、七水和物、五水和物、一水和物が知られているものの、無水物はありません。金属クロムを希硫酸で溶解することで得られます。「硫酸第一クロム」とも呼ばれています。

2. 硫酸クロム(Ⅲ)

硫酸クロム(Ⅲ)は、十八水和物、十七水和物、九水和物、六水和物、三水和物、無水物が知られています。クロムミョウバンに濃硫酸を加えて冷却することで、おもに十八水和物が得られます。

十八水和物の加熱により、十七水和物、九水和物、六水和物、三水和物、無水物が得られ、「硫酸第二クロム」とも呼ばれることが多いです。また、硫酸クロム(Ⅲ)は、融点700℃で、常温において紫色または赤色の固体です。

PRTR法において「第1種指定化学物質」に指定されています。また、労働基準法における、「がん原性化学物質」「疾病化学物質」です。労働安全衛生法において「名称等を表示すべき危険有害物」「名称等を通知すべき危険有害物」に指定されています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/10101-53-8.html

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