ボロン鋼

ボロン鋼とは

炭素鋼に、ホウ素とクロムを添加した鋼材がボロン鋼(B鋼)です。鉄鋼の材料に添加される元素には色々な機能がありますが、ボロンは、焼入れ性向上に効果がある元素です。基本成分として、ボロンを約0.0008%、クロムは0.10~0.20%加えます。

鉄鋼材料の五元素である炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄と、他に、ニッケルの成分量などを調整します。合金ボロン鋼の場合は、クロム量が多くなります。ボロンを添加することで、線材を加工する際の熱処理工程を省略できるようになります。

ボロン鋼の使用用途

自動車部品で多く使用されます。特にボルト・ナットで多く使用する鋼種です。ボロン鋼は、合金鋼を使用するほど、強度が必要ではないところで、合金鋼に代わる鋼材として汎用的に使用されています。ボルトの強度区分10.9までが、通常ボロン鋼の使用可能範囲です。

ボロン鋼の使用の利点は、冷間鍛造加工です。冷間鍛造の加工工程は、熱処理工程のうち焼鈍(焼きなまし)が必要です。一般に、加工工程は、線材-球状化焼鈍-伸線-冷間鍛造 ですが、ボロン鋼を使用すれば、線材-伸線-冷間鍛造とすることが可能です。

ボロン鋼の種類

JIS規格では、冷間圧造用ボロン鋼として、24鋼種が規程されています。例えば鋼種記号は、SWRCHB223の場合、数字の前のBがボロン鋼を表します。

SAE規格(米国)でも、炭素ボロン鋼、マンガンボロン鋼、合金ボロン鋼が規程されています。例として1021Bの場合は、数字の後のBがボロン鋼を表します。

ボロン鋼の種類と用途は多くあります。いずれも、部品製造工程中の熱処理工程を省略、または処理時間短縮、熱処理温度の低温化を目的に使用されています。

それぞれにおいて一例を挙げるならば、肌焼ボロン鋼は、ギア部品用途に使用されており、ボルト用ボロン鋼は、ボルト用途として利用されています。また、省Mo強靭ボロン鋼は、高価なMoを省略すると共に熱処理も不要として、ナックル部品用途に活用されており、高強度高靱性ボロン鋼は、リンク用途に使用されています。

特に高強度ボルトにボロン鋼を使用する際には、耐遅れ破壊性が考慮されている鋼材を選定する必要があります。外部から侵入した水分による、水素脆化によって脆性破壊を生じることがあるので、各種合金元素を加えて防止する必要があります。

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