ニッケルクロムモリブデン鋼

ニッケルクロムモリブデン鋼とは

JISの鋼種記号は、SNCM220など、先頭の英字記号がSNCMです。JISでは、11種類が規程されています。

普通炭素鋼クロムモリブデンを添加したのがクロムモリブデン鋼です。そして、靱性をさらに向上させるため、ニッケルを加えたのがニッケルクロムモリブデン鋼です。ニッケル・クロム・モリブデンの各合金元素は、とくに焼入れ性と焼戻し性を調節するために添加されています。

また、肌焼鋼と呼ばれ、表面硬化(熱処理、処浸炭・窒化)や侵炭、窒化などの表面化成処理を実施することで、機械的特性を向上させています。

さらに、浸炭後に焼入れ・焼戻しの複合処理を実施するニッケルクロムモリブデン鋼もあります。

ニッケルクロムモリブデン鋼の使用用途

機械構造用合金鋼の7鋼種の中で、最も機械的特性に優れた鋼材です。しかし、高価なニッケルが添加されているため、高価格になります。機械的特性を高める元素とて、ニッケル・クロム・モリブデンの3元素を使用していることから高焼入硬化性、高靭性を可能としています。

熱処理により、高強度に強度調整が可能なことから高強度部品を必要とする航空機に多用されています。大型部品では、特にエンジン部品用として使用されています。合金鋼のなかでは最高クラスの強度を持ちますが、難溶接性材です。また、高強度なため、切削加工等の加工も容易ではありません。

ニッケルクロムモリブデン鋼の種類

SNCM439、SNCM447は、高強靱性で質量効果も小さいので大型の部品に適しています。ニッケルクロム鋼より入れ性がよいのも特徴です。

特にSNCM447は、ニッケルクロムモリブデン鋼の中で強度・硬度がともに最も優れています。 また、降伏点は、930N/mm2以上で、これは機械構造用合金鋼鋼材の中でも最も高い値です。中小型の軸、精密歯車、コレットチャック等に使用されています。

SNCM415、SNCM420は、主に浸炭用として使用されています。高強靱性で質量効果も小さいため、大型の部品に適しています。φ100以下のスピンドル、ウォーム、スプライン軸等に使用されています。

SNCM616は、浸炭鋼にも強じん鋼にも使用できます。浸炭鋼の中では、特に高強靱性で質量効果は最も小さいです。また、強い自硬性を持ち、複雑な形状の部品でも熱処理による寸法変化が少ないです。ただし、難被削性材です。強力歯車、シャフト、鋳造型等に使用されています。

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