ロッドレスシリンダ

ロッドレスシリンダとはロッドレスシリンダ

ロッドレスシリンダとは、外部に伸びるロッドが存在しないシリンダです。

シリンダは、圧力を推進力に増幅変換させる機器を指します。シリンダの本体自体が動くことで直線的な運動が実現されます。エアシリンダで使用されることが多いです。一般的なシリンダは、ストロークの倍以上の長さロットが専有します。

それに対し、ロッドレスシリンダはロッドが不要なため、全体的な構造がコンパクトでスリムな点が特徴です。省スペース化を実現することが可能で、狭いスペースや制約のある環境で使用する際に有利です。

ロッドのない構造であるため、ロッドのたわみや振動が影響せず、高い運動精度を維持します。位置制御や位置決めが重要な応用用途にも有利です。また、ガイド付きの製品は、エア配管を接続するだけでそのまま使用することができます。

ロッドレスシリンダの使用用途

ロッドレスシリンダは、さまざまな産業やアプリケーションで使用されています。リニアガイドと併用して使用することが多く、ボールネジの直動機構と同程度のストロークで使用することができます。以下はロッドレスシリンダの使用用途です。

1. 自動化システム

自動化システムでは、製品の組み立てや運搬などのプロセスでロッドレスシリンダが利用されます。例えば、製品を正確に位置づけて加工・搬送するために、高精度のロッドレスシリンダが使用されます。また、ピッキング・製品配置作業においても使用されることが多いです。

2. パッケージング機器

食品や医薬品の包装機器では、製品の搬送や封入作業にロッドレスシリンダが利用されます。製品を正確に配置してパッケージングする必要があるため、運動精度の高さが重要です。また、ロッドレスシリンダは清浄な環境での作業にも適しているため、医薬品や食品の加工・包装ラインでの使用に有利です。

3. ロボットアーム

工業用ロボットアームは、工場の自動化や物体の移動、組み立てなどに使用されます。ロッドレスシリンダは、ロボットアームのジョイントやエンドエフェクターの動作制御に用いられることが多いです。これにより、製品の組み立てや荷物の仕分けなど、幅広い作業を実行できます。

ロッドレスシリンダの原理

ロッドレスシリンダにはマグネット式とメカジョイント式の2つのタイプがあります。

1. マグネット式

マグネット式ではシリンダチューブとスライドテーブルはつながっておらず、マグネットの磁力によって直動動作が連動します。チューブ内は閉空間となっているため、エア漏れのリスクは小さく、最大150℃の耐熱仕様も対応可能です。ただし、力の伝達にマグネットを使用しているため、大きな負荷を与えるとスライドテーブルが外れる可能性があります。

2. メガジョイント式

メカジョイント式はシリンダチューブとスライドテーブルがつながっており、シールベルトと呼ばれるパッキンによって流体がシールされた構造です。大きな負荷にも耐えられますが、低速使用ができません。また、使用可能な温度範囲が狭く、シールベルトが浮き上がるとエア漏れする点が欠点です。

ロッドレスシリンダの選び方

ロッドレスシリンダの選ぶ際は、まず使用推力からシリンダ内径を決定します。シリンダの推力は、内径面積と使用空気圧から求めることが可能です。

次に、負荷荷重やピストン速度、モーメントなどの特性から、移動物の質量や移動速度を考慮してシリンダ型式を決定します。また、取付姿勢によっても条件が変わるため注意が必要です。一般的に垂直姿勢では移動物の重量が加算されるため、大きなサイズのシリンダを選びます。

ロッドレスシリンダのその他情報

ロッドレスシリンダの使い方

ロッドレスシリンダはロングストロークで使用される場合が多く、取付にいくつか制約があるため注意が必要です。ロッドレスシリンダは移動物に推力のみを与え、荷重やモーメントは直動ガイドで受けます。

ロッドレスシリンダを使用する際の注意点は、スライダへの移動物固定方法です。移動物は直動ガイドに固定されており、ロッドレスシリンダにより推力を与えますが、スライダと移動物は完全固定してはいけません。

理由としては、直動ガイドは直線移動するのに対し、ロッドレスシリンダのチューブは自重によるたわみがあり、スライダの動きは直線運動にならないためです。直動ガイドとスライダの動きは平行にならず、シリンダやガイド破損の原因になります。

これを回避するために、スライダと移動物の固定は推力方向のみとし、スライダを前後方向に挟み込むように取付する対策を講じることも多いです。

参考文献
https://www.smcworld.com/products/select_guide/ja-jp/actuator/rodless_data.html
https://mechanical-engineer48.com/post-1551/

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