ルビジウムとは
ルビジウムとは、原子番号が37番、原子量が85.4678のアルカリ金属の1種です。
元素記号はRbで示されます。1861年にドイツのブンゼン (英: Bunsen) とキルヒホッフ (英: Kirchhoff) により発見されました。地殻の中には比較的多く存在する元素ですが、鉱石としてはほとんど存在しません。
リチウム (Li) を精製する際の副産物として得られます。なお、消防法では自然発火性物質として、危険物に指定されています。
ルビジウムの使用用途
ルビジウムは、ガラスに添加すると、強度や電気絶縁性が高くなります。主に炭酸ルビジウム (Rb2CO3) としてガラスに混ぜられ、ブラウン管に利用可能です。
そのほか、原子時計にも使用可能です。ただし、ルビジウムの商業・工業用途は限られています。
それ以外にも、年代測定に利用されています。鉱物中などのルビジウム87とストロンチウム87の含有量比から、これらの物質が結晶化してから現在までの年代を算出可能です。
ルビジウムの性質
ルビジウムは、銀白色の柔らかくて、非常に軽い金属です。炎色反応で、カリウムと似た暗赤色を示します。融点が低く、39°Cです。沸点は688 °Cで、気体は青色です。
特性は他のアルカリ金属に似ています。非放射性のアルカリ金属元素の中で電気陰性度が2番目に小さく、イオン化エネルギーも406 kJ/molととても低いです。
化合物中の原子価は+1です。ルビジウムイオンは、カリウムイオンと同様に、植物や動物の細胞に取り込まれます。
ルビジウムの構造
ルビジウムの室温付近での密度は1.532g/cm3で、融点での液体密度は1.46g/cm3です。常温常圧で安定な結晶は、体心立方構造を取っています。電子配置は[Kr] 5s1です。
ルビジウムのイオン半径は大きいため、不適合元素に含まれます。不適合元素とは、造岩鉱物の結晶へ入りにくい元素のことです。
ルビジウムのその他情報
1. ルビジウムの反応
ルビジウムの反応性は、他のアルカリ金属と似ています。ただし、カリウムやナトリウムよりも反応性があります。空気中でルビジウムは自然発火し、すぐに酸化して過酸化物のRb2O2や超酸化物のRbO2を生成可能です。
また、ハロゲン元素とも激しく反応します。さらに、水と反応すると水素が生じ、水素を点火するために十分な量の反応熱も得られるため、爆発的に反応が進行します。
そのほか、カリウム、ナトリウム、セシウム、カルシウム、金などと合金を生成可能です。水銀に溶けると、アマルガムを形成します。
2. 天然のルビジウム
地殻中にルビジウムは、23番目に多く存在します。白榴石 (英: Leucite) 、カーナライト(英: Carnallite) 、ポルサイト(英: Pollucite) 、チンワルド雲母 (英: Zinnwaldite) のような鉱石に、酸化物として最大1%程度含まれます。リチア雲母 (英: Lepidolite) はルビジウムを0.3〜3.5%含有しているため、商用ベースのルビジウム源に使用可能です。
海水は、平均125μg/Lのルビジウムを含んでいます。同族元素と比べると、カリウムより大幅に少なく、セシウムより大幅に多いです。ルビジウムの主要な産出源は、イタリアにあるエルバ島のルビジウム微斜長石とカナダにあるバーニック湖のポルサイト鉱床です。
3. ルビジウムの生産
ルビジウム化合物は、年間2〜4トンほど生産されます。カリウムから、ルビジウムやセシウムを分離可能です。例えば、ルビジウムセシウムミョウバンから分別晶出により、純粋なルビジウムミョウバンが生成します。
4. ルビジウムの同位体
ルビジウムの同位体は、24種類知られています。天然に存在する同位体は、安定同位体の85Rbと放射性同位体の87Rbです。天然存在比は、それぞれ72.2%と27.8%です。
環境中に87Rbは広く存在します。87Rbの半減期は4.88×1010年です。87Rbはベータ崩壊によって安定な87Srに変わるため、年代測定に利用されています。
82Rbは天然には存在しませんが、82Srの崩壊によって生成します。82Rbの半減期は1.273分です。82Rbは心臓のポジトロン断層法に使用されます。