ルテニウム

ルテニウムとは

ルテニウム (英: Ruthenium) とは、銀白色で硬いがもろく、粉末になりやすい固体です。

ルテニウムの元素記号はRuで、原子番号は44番、原子量101.07、CAS番号は7440-18-8の白金族元素です。

1828年にドイツの化学者オサンにより、ロシアのウラル山脈の堆積物から新しい元素として認識されました。しかしオサンのルテニウムは不純物が多いものであり、1844年にロシアの化学者 クラウスによってはじめて単離されました。ルテニウムは天然には、イリジウムなど他の白金金属と共に地殻中に存在します。

ルテニウムの使用用途

ルテニウムの主な使用用途は下記の通りです。

1. 金属への添加

ルテニウムは、白金、パラジウム、チタンおよびモリブデンと合金化され、様々な用途に用いられています。このような合金は、腐食や酸化に対する耐性が高く、激しい摩耗に耐えることができます。そのため、例えば、ルテニウム-パラジウム合金は、宝飾品、装飾品、歯科治療に使用され、ルテニウム-白金合金は、装飾の他、電気接点の材料に用いられます。

2. 医療材料

ルテニウムのベータ崩壊同位体Ru-106は、眼腫瘍、主にぶどう膜の悪性黒色腫の放射線療法に使用されます。また、ルテニウム中心錯体は、可能な抗癌特性について研究されています。白金錯体と比較して、ルテニウムのものは加水分解に対してより大きな耐性を示すため、腫瘍に対してより選択的な作用を示すことが期待されます。

3. 触媒

ルテニウム含有化合物の多くは、有用な触媒特性を示します。均一系触媒としての利用は、三塩化ルテニウムやグラブス触媒によるオレフィンメタセシス反応、キラルルテニウム触媒によるケトン類のエナンチオ選択的水素化などがあります。不均一系触媒としては、フィッシャートロプシュ合成などへの利用があります。

4. その他

他にもルテニウムは、地下構造物や水中構造物のカソード防食や、塩水から塩素を生成する電解槽に使用される複合金属酸化物陽極の成分にもなっています。

ルテニウムの性質

ルテニウムは、融点が2,450℃、沸点が3,700℃で、常温では固体として存在し、固体状態での密度は12.43g/cm3です。王水を含む酸などにほとんど溶解せず、溶融アルカリには溶解してルテニウム酸塩 (RuO42-) を形成します。

ルテニウム金属は、電気や熱分解によってメッキすることができる他、白金やパラジウム、チタンなどに少量添加することで、硬度や強度を高める性質があります。

ルテニウムのその他情報

1. ルテニウムの製法

ルテニウムは、他の白金族金属と同様に、ニッケルや銅、および白金金属鉱石を処理する際のの副産物として商業的に得られます。銅やニッケルの電解精錬中に、銀、金、および白金族金属などの貴金属が陽極泥として沈殿し、これを抽出することでルテニウムを得ることが出来ます。ルテニウムは、使用済みの核燃料の中に、直接核分裂生成物や中性子吸収生成物としても含まれています。

2. ルテニウムの反応

ルテニウムは、二酸化ルテニウム (RuO2) に酸化することができ、さらにメタ過ヨウ素酸ナトリウムによって、強力な酸化剤である四酸化ルテニウム (RuO4) に酸化することができます。四酸化ルテニウムは、主に鉱石や放射性廃棄物からのルテニウムの精製における中間体として使用されます。

3. 法規情報

ルテニウムは、毒物及び劇物取締法、消防法、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) など、主要な法規制のいずれにも該当していません。

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 容器を密栓し、乾燥した冷暗所に保管する。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 強酸化剤との接触は避ける。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 取扱い後はよく手を洗浄する。
  • 皮膚に付着した場合は、速やかに水で洗い流す。
  • 眼に入った場合は、水で数分間注意深く洗う。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01W0118-0164.html

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